緑オリーブ法律事務所ブログ

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 世間では、日産自動車のカルロス・ゴーン会長逮捕のニュースでもちきりです。
 たしかに注目に値するニュースですが、私個人としては、盛んに「日本版司法取引が適用された」と報道されていることが気になります。(読売新聞ONLINE・11月20日朝日新聞DIGITAL・11月20日など)


 「司法取引」制度とは、経済事犯や薬物銃器事犯などの特定の犯罪において、被疑者や被告人が共犯者の供述や証拠の提出といった協力をする代わりに、検察官から不起訴や刑事責任の減免を保証してもらう制度です(改正刑事訴訟法350条の2。なお、法律上は「取引」ではなく「協議」「合意」と呼ばれます。)。
 欧米などでは広く取り入れられていますが、日本では2018年6月に施行されたばかりで、ゴーン氏事件での適用が2例目とのことです。


 この(日本版)司法取引制度については、経済事犯や薬物銃器事犯など表に出づらい事件の解明に有効であるとされています。今回のゴーン氏逮捕も、司法取引制度の成果だといえるかもしれません。
 しかし、司法取引制度が、他人の犯罪を密告することで自己の刑責を軽くするという制度である以上、無実の者が罪を着せられる冤罪発生の危険性は、いくら検察官が慎重に適用し、弁護人が十分な弁護をしても、無くなるものではありません。
このため、自由法曹団などの弁護士団体は、司法取引制度の導入に、ずっと反対してきました。(「盗聴法拡大、司法取引導入に反対する意見書」、同「その2」、同「その3」)
とくに、秘密保護法や共謀罪法が施行され、国民に対する監視が強まり、密告が奨励されるようになった現在、司法取引制度の導入には治安立法の背景が透けて見えるといわざるを得ません。
 このまま司法取引制度が、役に立つ制度だと、国民に無批判に受け入れられることがないよう、注視していく必要があります。(浜島将周)

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