緑オリーブ法律事務所ブログ

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 裁量労働制を違法適用していた野村不動産で男性社員が過労自殺していた問題が、国会でも大きく取り上げられていましたが、今度はまた、東京のIT会社で裁量労働制で働いていた男性会社員(当時28歳)が昨年、くも膜下出血で死亡した事故について、労働基準監督署が今年4月に過労死だったとして労災認定していたことが明らかになりました。(毎日新聞Web・5月16日日本経済新聞Web・5月16日
 さらに、テレビ朝日で裁量労働制を適用する制作部門に所属し、ドラマを担当していた男性プロデューサー(当時54歳)が2015年、心不全で死亡した事故について、労働基準監督署が同年に過労死だったとして労災認定していたことも明らかになりました。(毎日新聞Web・5月17日産経新聞Web・5月16日


 これら裁量労働制で働く労働者の過労死・過労自殺が次々に明らかになっていることは、極めて憂慮すべき事態です。
 にもかかわらず、政府与党が今国会において、〝スーパー裁量労働制〟とでもいうべき「高度プロフェッショナル制度」の導入を含む「働き方改革関連一括法案」の強行採決を目論んでいる、と報道されています。


 「高度プロフェッショナル制度」とは、年収1075万円以上の金融ディーラーなどを労働基準法による労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規制の対象から外す制度です。
 成果を出せば数時間で帰宅することができるなど、対象業種の労働者の働き方を柔軟にする制度だとされています。


 しかし、労働基準法による労働時間規制の対象から外された労働者を作り出すというのですから、過労死・過労自殺の促進させかねません。
 過労死を考える家族の会・過労死弁護団・日本労働弁護団の3団体が昨日発表した「労働時間規制を破壊し働かせ放題の「高プロ」導入に反対する緊急共同声明」から、以下抜粋します。


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「高プロ」の本質は、「専門業務型のホワイトカラー・エグゼンプション」であり、労働基準法の労働時間規制を全く受けない労働者を作り出すというものであって、完全な規制の撤廃であり労基法の破壊である。24時間営業のコンビニエンスストアのように、労働者に対し昼も夜もなく24時間、休みなしで働けという業務命令が合法となる制度である。しかも、「高プロ」が裁量労働制より悪いのは、対象労働者には労働時間に関する何の権限も裁量もなく、使用者の業務命令には無条件で従わなければならないという点である。また、法案には、成果に応じた賃金が支払われる保証などどこにもない。際限のない長時間労働を強いられる危険性が極めて高く、長時間労働を助長する制度であり、“過労死促進法”“定額(賃金)で働かせ放題”の法案である。「高プロ」が導入されれば、日本で働く全ての労働者にとって、取り返しのつかない危険を及ぼす虞があり、断じて容認することはできない。


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 「高度プロフェッショナル制度」を含む働き方改革一括法案を強行採決することなく、「高度プロフェッショナル制度」を撤回することを強く求ます。(浜島将周)

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