緑オリーブ法律事務所ブログ

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改正された民法(以下「改正法」と言います)、今回は、法定利率についてご紹介します。


1 3%スタートの変動制の導入
 法定利率とは、法律によって定められている利率のことです。現行民法では年5%とされ(404条)、特別に年10%にするなどの合意をしていない限り、特に合意していなくても年5%の利息が発生します。
 しかし、年5%というのは、今の低金利の現実社会とかけ離れた高利率となっていました。そのため、改正法では法定利率について変動制が導入されました。
 これは、改正民法の施行日から年3%でスタートし、3年ごとに利率を見直し、1%単位で変動するという制度です。
 もっとも、特定の債権に適用される法定利率は、その後法定利率が変動しても、変わりません。債権の発生時の法定利率で固定されるということになります。
 なお、年6%とされている現行の商事法定利率(商法514条)は廃止されます。

2 適用利率の基準時
 改正法404条1項で、利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率によるとされます。
 ただ、金銭債務の損害賠償額の算定に関しては、改正法は特則を置いていて、「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点」が基準時とされています(改正法419条1項本文)。
 この「遅滞の責任を負った最初の時点」とは、契約等に基づく金銭債務不履行の場合、具体的には、
  ①確定期限がある場合はその期限が到来した時(改正法412条1項)、
  ②不確定期限がある場合は、期限到来後請求を受けた時又は期限到来を知った時のいずれか早い時点(改正法412条2項)、
  ③期限の定めがない場合は、履行の請求を受けた時(改正法412条3項)
です。
 また、不法行為に基づく損害賠償債権の場合は、不法行為時が基準時となります。

3 中間利息控除について
 中間利息控除とは、交通事故等により死亡や後遺障害により労働能力を喪失した場合、被害者が将来に得るであろう利益(逸失利益)の損害賠償の額については、将来得るであろう利益を現在においてすべて受け取ることとなるから、将来その利益を取得すべき時までの利息相当額を損害賠償の額から控除する、ということです。これまで、明文規定はありませんでしたが、法定利率である年5%での中間利息を控除して損害額が算定されていました。
 今回の改正では、中間利息控除についても明文規定が置かれ、法定利率を用いて、損害賠償請求権が発生した時点での法定利率を適用することになりました(改正法417条の2)。
 そうすると、これまで年5%もの中間利息が控除されていたのに対し、年3%となれば、控除される金額は少なくなりますから、その分被害者の賠償額は高く算定されるようになり、被害者救済の観点からは実態に見合ったものになると思われます。もっとも、保険会社からすれば、保険金の支払いが高くなるので、保険料の見直しなどが出てくるかもしれません。
   
4 経過措置
 改正法では、以下の経過措置が置かれています。
 利息、損害金が、施行日前に生じた場合は、旧法が適用されます(改正法付則15条1項)。
 また、施行日前に生じた将来において取得する利益についての損害賠償は、旧法が適用されます(付則17条3項)。したがって、例えば交通事故の発生日が改正法施行前か後かで、中間利息控除の利率が変わってくる、ということになりそうです。(亀井千恵子)

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