緑オリーブ法律事務所ブログ

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11月4日、大法廷での弁論を傍聴してきました。12月16日の判決では、違憲判断が期待されています。

この問題の歴史は長いのに、なかなか訴訟にはなってきませんでしたが、原告は、何世代にもわたる社会的問題に取り組む意義をもって、声を挙げた方々です。

日本は、女性差別撤廃条約批准国として、女性への間接差別の一環として位置づけられたこの問題を是正するよう何度も勧告を受けていますが、国会では一部の反対も強く、何十年も立法不作為が続いています。

今回の裁判をめぐって、mネットなど市民運動の盛り上がり、弁護士会からの改めての会長声明、何度目かの議員立法が出されるなどしていますが、最高裁で違憲判断が出ても、相続分の婚外子差別の場合と違って、国会が司法判断に沿って民法改正に取り組むどころか、むしろ憲法24条の改正を望む声が盛り上がるのではという予測もあります(自民党の憲法改正草案参照)。

結婚するとき、夫と妻は、どちらかが姓を変えなければいけないという今の日本の民法の制度、あなたはどう考えますか。どちらも自分の姓を変えたくないというカップルがいたら、法律上の結婚をあきらめなければならないのでしょうか。かりに、自分の考えがそうだとしても、それを法制度として他人に事実上強制してもよいのでしょうか。

フランスのように、法律婚と事実婚の差を解消する方法もありますが、日本では、法律婚であるか否かによって、相続や税制をはじめとするあらゆる場面で、受けられる法的、社会的メリットの線引きがされているのが実態です。

今後の世代のことも考えれば、司法判断を待たず、すみやかな民法改正が望まれます。

(横地明美)

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