安倍首相は、新型コロナウィルスの感染拡大を防止のため、4月7日、新型インフルエンザ等特別措置法32条に基づき、対象区域を東京都、大阪府等の7都府県、対象期間を1か月間とする緊急事態宣言を発出しました。これを受けた各都府県知事は、同特措法45条に基づく生活維持に必要な場合を除く外出自粛、学校等の施設利用の制限、映画や音楽、スポーツ施設の使用制限、各種イベントの開催の制限を求めることとなります。
また、報道によれば、愛知県の大村知事が、県内での新型コロナウィルスの感染拡大を受け、愛知県も緊急事態宣言の対象地域に加えるよう、国に働きかける方針を固めたとのことですので、間もなく愛知県も対象区域になるかもしれません。
すでに、日本全国で、さまざまな制限、自粛がなされています。私が主催者側で関わっていることでいえば、4月11日に予定されていた秘密法と共謀罪に反対する愛知の会の8周年総会や、5月3日に毎年開かれる市民のつどい(憲法集会)は中止になりました。
裁判についても、緊急事態宣言対象区域内の東京地裁・家裁では、ほとんどの裁判期日が取り消されて、追って指定(様子を見て、後日指定される)となっているようです。名古屋地裁・家裁では、今のところほぼ開廷されていますが、当事者・代理人の座席も傍聴席も、間隔を空けて座るように指示されています。多数の当事者や傍聴人が集まる大型事件については、期日が取り消されることもあるようです。愛知県も対象区域となれば、ほとんどの裁判期日が取り消されることになるでしょう。
新型コロナウィルスの感染拡大防止のためには、人と人との接触をなるべく少なくすることが当面の課題であることは間違いありません。
ただ、先回のブログ記事のとおり、今回の「緊急事態宣言」を無批判に受け入れることは、問題があるように思います。
自由法曹団が、『新型コロナウイルス感染拡大に伴う「緊急事態宣言」に際して、憲法を生かし、いのちと暮らしを徹底して守る感染拡大防止策の確立を求める』声明を発表しました。ご一読ください。(浜島将周)
<4.10.追記>
愛知県は、4月10日、県独自の緊急事態宣言を発出するとともに、5月6日までの間、緊急事態措置を実施しました。これを受けて、名古屋地裁、名古屋家裁等でも、次々に期日が取り消されています。
当事務所の対応については、このホームページにて告知いたします。
<4.17.追記>
安倍総理は、4月16日、これまでの7都府県に加えて、40道府県すべてに緊急事態宣言を発出しました。さらに、7都府県に愛知県、岐阜県等を合わせた13都道府県を「特定警戒都道府県」に指定しました。
新型コロナウィルス感染拡大に歯止めがかからず、医療現場も限界を迎えているといわれる状況で、緊急事態宣言の発出さらに全国への拡大には積極的評価が多い(むしろ遅すぎだとの評価も多いくらい)ですが、この緊急事態宣言の発出が、憲法に「緊急事態条項」を盛り込む憲法改正の布石になりはしないかは、注視する必要があると感じています。
<4.19.追記>
緊急事態宣言の問題性について、参考になる記事を2つご紹介します。
・ 「『緊急』の魔力、法を破ってきた歴史 憲法学者の警鐘」<石川健治(東京大学教授・憲法学者)>(朝日新聞DIGITAL・4月17日)
・ ビーバーテール通信 番外編「緊急事態宣言は魔法の杖ではない」<小笠原みどり(ジャーナリスト・社会学者、在カナダ)>(NPJ通信・4月7日)
<4.27.追記>
浜島が共同代表を務めております「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」は、今年度の総会を中止しました。
総会にて配布する予定となっていた資料とともに、ごあいさつ文を公開しました。
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<5.4.追記>
浜島も事務局をさせていただいている「愛知憲法会議」は、毎年5月3日の憲法記念日に名古屋において2000人規模の集会「市民のつどい」を開催していますが、今年は中止しました。全国各地で同様に、集会が中止されています。
今年で日本国憲法は73回の誕生日を迎えました。例年のように市民が集まってお祝いすることはできませんが、それぞれがそれぞれの場所で、私たちの憲法のことを考える日となることを願って、アピールを発表しました。
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