遺産分割について、大きく分けて3つの改正がありました。
いずれも施行日は本年7月1日で、すでに始まっています。
1.夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置
2.預貯金の払戻し制度の創設
3.遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲の見直し
このうち、今回は1.について、簡単にご説明いたします。
今回の改正で、配偶者(夫/妻)の保護のための方策として、「持戻し免除の意思表示の推定規定」が設けられました。
婚姻期間が20年以上である夫婦の一方配偶者が、他方配偶者に対し、その居住用建物またはその敷地(以下「居住用不動産」といいます。)を遺贈または贈与した場合については、民法903条第3項の持戻しの免除の意思表示があったものと推定し、遺産分割においては、原則として当該居住用不動産の持戻し計算を不要とすることになりました。
「持ち戻し免除…」というと難しいですが、簡単にいうと、婚姻して20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈・贈与があったときには、その分は遺産の先渡しとして計算しないことになった、ということです。
従来は、遺贈・贈与で居住用不動産を配偶者に渡しても、相続の段階では遺産の先渡しとして計算されてしまい、結果として、配偶者の取得額が増えるわけではありませんでした。
今回の改正により、居住用不動産を配偶者に遺贈・贈与した場合は、居住用不動産はそのまま配偶者のものとなり、配偶者の取得額が増えることになります。
法務省の出しているリーフレットで、具体的な事例を示して説明されていますので、こちらもご覧ください。
法務省「相続に関するルールが大きく変わります」
(浜島将周)