緑オリーブ法律事務所ブログ

緑オリーブ法律事務所ブログ

 売買契約をして,引き渡された商品に欠陥があったという場合,買主は売主にどのような責任を問えるでしょうか。


 改正前の民法では,気づかない欠陥があることを示す「隠れた瑕疵」という用語がわかりにくいだけでなく,どのような場合にどんな請求ができるかということや,損害賠償請求ができる範囲等について,様々な議論がありました。


 改正法は,わかりやすく合理的なルールを示すために,次のような変更を行うことにしました。


1 目的物の「隠れた瑕疵」という用語を,よりわかりやすい用語に変更する
  「目的物の種類,品質又は数量に関して契約の内容に適合しないもの」に変更。


2 買主の権利を明記
  買主は売主に,①補修や代替物引渡しなどの追完請求,②損害賠償請求,③契約解除,④代金減額請求,ができることを明記。


3 買主が権利行使の期間制限を免れるために,なすべきことを緩和
  買主が上記2の権利を行使できるためには,受け取った目的物が契約に適合しないことを知った時から1年以内に,その旨を売主に「通知」する必要があると規定。
  改正前の条文では,1年以内に「権利を行使」することまでしなければならないとされていたのですが,買主にもう少し余裕を与えたといえます。


 以上が改正の概要です。
 どのような商品が引き渡されれば契約内容に適合するのかは,具体的な契約の解釈の問題になりますが,改正前よりは売主の責任及び買主の権利が明確になり,トラブル解決に役立つのではないかと思います。
(横地明美)




  • <
  • 1
  • >