報告が遅くなりましたが、去る10月5日に開催された日本弁護士連合会人権擁護大会シンポジウム第2分科会「情報は誰のもの?~監視社会と情報公開を考える」に参加してきました。私の関心分野である情報問題に関するシンポであることに加え、あのエドワード・ジョセフ・スノーデン氏とのインターネット中継によるライブ・インタビューが予定されていたからです。
全体として、現代社会における「プライバシー」の重要性を考えさせられる示唆に富んだシンポでした。
愛知県弁護士会HPに、シンポ実行委員の加藤光宏弁護士による報告記事が掲載されましたので、内容についてはこちらをご覧ください。
また、同大会では、『個人が尊重される民主主義社会の実現のため、プライバシー権及び知る権利の保障の充実と情報公開の促進を求める決議』が採択されました。
決議の内容は下記のとおりですが、提案理由も含む決議全文はこちらをご覧ください。(浜島将周)
1 超監視社会におけるプライバシー権保障の充実
(1) 公権力が、自ら又は民間企業を利用して、あらゆる人々のインターネット上のデータを網羅的に収集・検索する情報監視を禁止すること。
(2) 監視カメラ映像やGPS位置情報などを取得し、それを捜査等に利用するに際して、これを適正化するため、新たな立法による法規制を行うこと。
(3) 捜査機関による通信傍受の対象犯罪を更に拡大し、また、会話傍受を可能とする立法を行わないこと。加えて、通信傍受の適正な実施について独立した第三者機関による監督を制度化すること。
(4) 市民監視を拡大し、市民の自由を著しく萎縮させるおそれの強い、組織犯罪処罰法改正法によって多数新設された、いわゆる「共謀罪」の規定を削除すること。
(5) 公安警察や自衛隊情報保全隊などの情報機関の監視権限とその行使について、法律により厳格な制限を定め、独立した第三者機関による監督を制度化すること。
(6) マイナンバー制度が、あらゆる個人情報の国家による一元管理を可能とする制度となり、市民監視に利用されることのないよう、制度上・運用上の問題点を明らかにし、廃止、利用範囲の大幅な限定、民間利用の禁止等の対応を行うこと。
2 知る権利の保障の充実のための情報公開の促進と権力監視の仕組みの強化
(1) 公的情報の公開、保存及び取得に関し、基本理念と基本事項を定める情報自由基本法(仮称)を制定すること。
(2) 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)等を改正し、本来市民が入手すべき情報を、行政機関が恣意的に隠匿できない情報公開制度を確立すること。
(3) 公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)上、電子データが「行政文書」とされていることを踏まえて、全ての電子データを長期間保存することとし、また、行政文書の恣意的な廃棄等が行われないよう監視するために独立性の強い第三者機関を設けること。
(4) 秘密保護法について、廃止を含めた抜本的見直しを行うこと。
(5) 内部告発者の保護を強化するとともに、公益通報制度を周知すること。
(6) メディアによる権力監視を一層強化するために、自律的に多様な報道を行うことが促進される仕組みを構築すべきであること。
当連合会は、上記提言を実現すべく全力を尽くしていく決意である。