新潟市民病院の女性研修医の自殺について、極度の長時間労働によるうつ病発症が原因だとして、労働基準監督署が労災と認定した、との報道がありました。(毎日新聞WEB・6月1日、朝日新聞DIGITAL・6月2日)
報道によると、遺族の調査では、被災者の時間外労働は4か月連続で200時間を超え、最も多い月で251時間だったといいます。
他方、病院側は、被災者が自己申告していた残業時間は月平均約48時間だった、多くは医師としての学習が目的で、労働時間に当たらないと説明していました。
勤務医・研修医も「労働者」であることは明らかです(関西医科大学研修医事件等)。しかし、専門職である上、診療を原則拒めない医師については、その善意に甘えて、労働問題が議論されることは少なかったように思います。
医師不足の問題もあり、医師の長時間労働の問題は深刻です。外来の診察・診療、入院患者の回診、手術、カンファレンス、急変患者への対応、救急患者の受入れ等に加え、(とくに研修医時期は)当直・日直…と、休む間もないようです。
私も、かつて研修医の労働事件(未払残業代請求事件)を担当したことがあり、その労働時間の長さに驚かされました(なお、このときは、当直・日直を労働時間に含めることを前提とした和解が成立しました。)。
加えて、今回の病院側に反論にもありますが、〝研修〟時間をどう捉えるかが問題になります。
医師とりわけ研修医は、医師としての知識と技能と経験を少しでも身に付けようと、先輩医師に付いたり、オペに立ち会ったり、症例を検討したり、研究会等に出席したりといった研修をします。それが自主的なものか、研修医として必要な(義務的な)ものか、判断が難しいところです。
こういった背景もあり、外来の休診日を増やしたり、緊急患者の受入れを減らしたりして、医師の労働時間削減に対応する病院もあるようです。
政府が今年3月に公表した働き方改革実行計画では、時間外労働を罰則付きで規制する方針が示されました。ただし、上述のような特殊な業務を担う医師には、5年間の猶予期間が設けられました。
問題は深刻で、解決は困難です。病院任せにせず、国として対応すべき問題だと考えます。(浜島将周)