緑オリーブ法律事務所ブログ

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無痛分娩のリスク
2017-04-18 · by blogid · in 医療事故・薬害, 、 民事事件,

厚労省研究班が、無痛分娩について、急変時に対応できる十分な医療体制を整えた上で実施するよう緊急提言を行ったとの報道がありました。


2010年1月から2016年4月までに報告された298人の妊婦死亡例のうち、無痛分娩を行っていた方が13人(4%)おられたそうです。

私も、無痛分娩中にお亡くなりになった妊婦さんの医療過誤を取り扱ったことがあります。
解決までに長期間かかりましたが、まさに、急変時に十分な医療体制がなかった案件でした。

無痛分娩を推進する産院が増えてきているようですが、
この案件のときに意見をうかがった総合病院の産婦人科の医師が、
麻酔を使用するということは、副作用が起こる可能性があるわけだから、私は無痛分娩は推進しない、
とおっしゃっていました。

まさにそのとおりで、医療行為には、必ず副作用があります。
とある疾患のある方が、市販の薬を飲んで、副作用でお亡くなりになった医療過誤の裁判や、
血液検査で神経麻痺に至った案件を取り扱ったことがありますが、
私たち一般人が安全と思っているものでも、100%安全な医療行為はありません。

そうはいっても、実際に病気のときには、病気を治さなくてはならないわけですから、
副作用があったとしても、治療の必要性と副作用の可能性を天秤にかけて、治療を選択せざるを得ない場面がたくさんあります。

これに対し、無痛分娩の場合は、絶対に必要な医療行為ではありません。
無痛分娩のメリットがあることを否定するつもりはありませんが、
選択をするにあたっては、メリットばかりではなく、リスクをしっかり認識し、後悔をしない選択をしていただきたいと思います。
(間宮 静香)

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