緑オリーブ法律事務所ブログ

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 まず、講師の森達也さんがディレクターを務め1999年に制作されたTVドキュメンタリー『放送禁止歌〜唄っているのは誰?規制するのは誰?〜』が放映されました。(YouTubeで視聴できるようです。)


 いわゆる放送禁止歌は誰が、どのような基準に基づき、何故禁止したのか?放送禁止歌を放送することは違法なのか?
 実は、誰かも基準も理由もはっきりしない、そもそも「放送禁止歌」なるものが存在しない。したがって、放送禁止歌の放送は違法でない。〝自主規制〟に過ぎない。例えばただ歌詞に被差別部落の地名が出てくるから批判を避けて…(実際に批判の声が上がったわけでもないのに…)という、「臭い物に蓋をする」「触らぬ神に祟りなし」の表れであることも多い。その自主規制が、いつからか独り歩きし、作り手は「不自由だ」と文句を言う。規制しているのは自分自身、あなたかもしれない。


 その後、森さんによる講演がありました。


 放送禁止歌の〝自主規制〟に見られるように、また最近の森友学園にかかわる一連の事件で流行語になりつつある〝忖度〟にみられるように、勝手に自分でラインを引いておいて、その枠内で行動する(枠内なら安心して行動できる)、あるいは、羊の群れのように、自分で判断して動くのではなく、群れて周りの動きに合わせる。そうやって自分で自分の首を絞めながら、誰か権力者が規制しているかのように錯覚する。という日本(人)の特性に言及されました。
 そして、個の判断を放棄し、集団に身をまかせることはある意味楽だが、おかしな方向に行ってしまっても止めることができない。という危険性を指摘されました。
 恐怖を感じると、人は本能的に集団化して同じ行動を取ろうとする。1995年の阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件以降、さらに2011年の東日本大震災、福島第二原発事故以降、「絆」や「つながり」(と強いリーダー)が求められた。アメリカでも、2001年の同時多発テロ以降、市民の「連帯」(と強いリーダー)が求められた。この流れの中で、〈異物〉探しが行われ、今の日本でいえば、韓国・北朝鮮・中国が異物と見なされている。日本が、世界が、「右傾化」していると言われるが、これは「集団化」である。との分析が示されました。


 秘密保護法が制定、施行されましたが、現時点ではまだ一人の逮捕者も出ていません。また、同法では、報道には最大限の配慮がなされているはずです。しかし、どことなく息苦しい。報道されたような政治家等によるさまざまな圧力があったにせよ、原因はそれだけでしょうか。
 2016年の「報道の自由度ランキング」では、日本は72位、発展途上国並みにまで後退しています。(朝日新聞DIGITAL・2016年4月20日) 
 森さんの、「報道の自由度が72位で、民主主義度が上位ということはあるのか、政治家の良識度が、さらに国民そのものが上位ということはあるのか」との問いには、説得力がありました。(浜島将周)

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