緑オリーブ法律事務所ブログ

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ちょっとマニアックというか,小難しいシンポジウムですが,ご案内します。
身近な自然を裁判で守るために,訴訟において,「生物多様性」を主張し,それを判決に反映させるにはどうしたらよいか,検討しようというシンポジウムです。(浜島将周)


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<シンポジウムの趣旨>
1. 今回のシンポジウムでは,私たちの周りにある生物多様性に富んだ「身近な自然」が理不尽な開発等によって破壊されるのを,裁判を通じて阻止するための方法について,生物多様性基本法などを手がかりに考えたいと思います。


2. 生物多様性条約を日本国内で実施するための包括的な法律として作られた「生物多様性基本法」は2008年に成立しており,同法は,政府に対して生物多様性を守るための必要な法制上の措置等を行うことを求めています。


3. また,2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では,2020年までに生物多様性の損失を食い止めるための緊急かつ効果的な行動をとることが合意され,その実現のために各国に求められる行動が20項目にまとめられました。これは愛知目標(愛知ターゲット)と名づけられています。
 この愛知目標は2010年からの10年間に私たちが行うべき「共通目標」ですが,2020年までに自然生息地の損失の速度を少なくとも半減させることや(目標5),絶滅危惧種の絶滅及び減少が防止されること(目標12)などが定められています。


4. 2012年9月に閣議決定された「生物多様性国家戦略2012-2020」には,愛知目標達成に向けた「ロードマップ」が記載されていますが、生物多様性の状況が年々改善されているといえる状況にはなっておらず,いまだに“理不尽な”開発行為が強行されていると言わざるを得ません。現在でも,野生生物の生息地を根底から破壊する“理不尽な”開発行為は,生物多様性喪失の最大の原因となっており,このような状況が改まらない限り,愛知目標は達成できません。


5. 理不尽な開発行為から実効性のある形で身近な自然を守るには,司法を通じて開発行為を阻止するための制度的な保障が必要です。生物多様性を守ることについて裁判で正面から検討されるための方法,訴訟の場で「生物多様性の主流化」が図られるための方法を,今こそ検討する必要があります。


6. そこで,今回のシンポジウムでは,開発による野生動植物の生息地の破壊の阻止に向けて裁判が機能する方法を探るため,最近起きた「生物多様性」をめぐる開発案件を題材にしつつ,「生物多様性基本法」の趣旨を訴訟の場でどのようにして現実化・理論化していくことができるのか,研究者や弁護士によるディスカッションなどを通じて検討したいと思います。


<シンポジウムの要領>
『訴訟の場で生物多様性を主流化する』
~身近な自然を裁判で守る~

日 時:2017年2月18日(土) 13時00分~17時00分

場 所:愛知県弁護士会館(5階ホール)
名古屋市中区三の丸1丁目4-2


主 催:愛知県弁護士会
共 催:中部弁護士会連合会


どなたでも参加できます。入場無料,事前申込不要です。
ただし,定員150名に達し次第締め切ります。


お問合せ:愛知県弁護士会[人権・法制係]
名古屋市中区三の丸1丁目4-2
(052)203-1651
※お問い合わせ時間:平日9:00~17:00


<シンポジウムのスケジュール>
第1部
(1) 各地の弁護士からの事例報告 各10分(計40分)

① 平針里山の宅地開発許可取消請求訴訟
(小島智史氏 愛知県弁護士会所属弁護士)

② 尾鷲市砕石認可訴訟
(中倉秀一氏 愛知県弁護士会所属弁護士)

③ 泡瀬干潟埋立工事公金支出差し止め住民訴訟
(原田彰好氏 愛知県弁護士会所属弁護士)

④ 出し平ダム排砂差止等訴訟
(坂本義夫氏 富山県弁護士会所属弁護士)

(2) 基調講演(60分)


及川敬貴氏(横浜国立大学大学院環境情報研究院教授)
「自然保護訴訟から生態系サービス訴訟へ~公共的利益を主観的権利に再構成~など」


第2部 パネルディスカッション(90分)
基調報告と事例報告などをふまえて,開発行為から身近な自然を守るための,今後のあるべき訴訟のあり方について検討します。

・パネリスト:及川敬貴氏(横浜国立大学教授~環境法・環境政策および行政過程論を専攻)
       小倉孝之氏(神奈川県弁護士会所属弁護士~北川湿地事件住民側弁護士などを担当)
       市川守弘氏(札幌弁護士会所属弁護士~沖縄命の森やんばる訴訟弁護団などを担当)
・コーディネーター:樽井直樹氏(愛知県弁護士会所属弁護士)


なお,パネルディスカッションの後,来場者の方からの質疑応答の時間も予定しております。

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