10代,20代の女性がAV(アダルトビデオ)出演を強要され,性被害にあっていることが社会問題化しています
(被害者は男性の場合もあります)。
昨年,関係事業者が労働者派遣法違反で摘発される事件についての報道もありました。
『AV出演を強要された彼女たち』(宮本節子著,ちくま新書)では,
言葉巧みにスカウトされ,
断れない状況で不利益な契約書にサインをさせられ,
出演を断ろうとしても,高額な違約金が発生するとか,関係者に迷惑がかかる,親にばらすなど言われて
AVの撮影に応じさせられるという被害の発生状況や被害者の事情が詳しく書かれています。
断れない,逃げられないまま,他人の前で望まない性行為をさせられ,見られ,それが商品となって,本人のコントロールの及ばない形で社会に流布されてしまうのです。
宮本さんは,「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」で,AV被害者相談支援事業を行っており,相談も増えているそうです。
https://paps-jp.org/
内閣府では,初めて実態調査が行われました。今後,法規制が強化されることを期待します。
http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/sidai/bo86-s.html
「契約」の有効性は,書面内容だけでなく,締結時の事情等を総合的に検討する必要がありますが,
同意していない性的行為の撮影に応じる法的「義務」はありません。
場合によっては,強制わいせつ,強姦という犯罪になります。
少なくとも,本人が未成年者であれば,本人や親権者は契約が取り消せます。
(その意味では,成人年齢の18歳への引き下げはこのような被害について民法上の未成年者の行為についての取消権を奪うリスクがあると思います。)
被害にあってしまった場合,
被害者は責められるべきではありません。
若年女性が,社会的経験が少なく未熟で,経済力もなく,
「AV」の内容について情報も乏しいことにつけこむ加害者が悪いのです。
もし被害にあってしまった場合には,できるだけ早い段階で,
女性への暴力や性被害を扱う,PAPSさんのような支援団体,警察,行政の女性相談窓口などへご相談下さい。
資力に応じ費用についてもご相談に応じさせて頂きますので,当事務所へのご相談もお待ちしています。
(横地明美)