個人の自己破産の申立件数が、2016年に前年比781件(1.2%)増の6万4637件となり、13年ぶりに増加したそうです(最高裁の統計(速報値)より)。(時事.COM・2月10日、東京新聞Web・2月11日)
自己破産申立は、1990年代後半に急増し、2003年にピークを迎え(24万2357件)、その後2015年までは12年連続で減少していました。
急増した当時、返済目的で別の消費者金融からの借金を繰り返す、いわゆる多重債務が社会問題化しました。
このため、「グレーゾーン金利」を解消したり、消費者金融からの借入れを年収の1/3までに制限する「総量規制」を設けたりなど、貸金業法が改正がされてきました。
この結果、消費者金融の消費者向け無担保貸付残高は、大幅に減少しました(2005年度末:17兆6399億円→2015年度末:4兆4438億円)。
ただ、これに代わって、銀行のカードローン残高が急伸しているそうです(2016年末には5兆4377億円で、5年間で1.6倍に拡大(日銀の統計より))。
このことから、時事通信社は、「自己破産の申請が増加に転じた背景には、無担保で個人に融資する銀行のカードローン事業の急拡大があるとみられる」と報じています。
たしかに、最近ご相談を受ける個人の債務整理事案では、債権者名に消費者金融のほか銀行も挙がることが多くなってきました。
テレビのCMや電車内の広告でも、銀行のカードローンが目立ちます。この超低金利時代、最高で十数%の利息を取れるカードローンは、銀行にとって魅力的な市場なのでしょう。
ただ、かつての消費者金融のときのように銀行が個人に過剰融資をするようなら、銀行のカードローンも「総量規制」の対象にするなど、早めに対策をとっておくべきだと思います。
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