東京都のメガネ販売店「めがねおー」が、メガネフレームが万引きされたとして、防犯カメラに写った〝万引き犯〟とされる男性の映像をホームページ上で公開していることが大きく報道されました。また、同様のケースが全国で相次いでいるようです。(日テレNEWS24・2月9日、毎日新聞WEB・2月9日、朝日新聞DIGITAL・2月10日)
以前、マンガ・アニメ関連のグッズを扱う中古ショップ「まんだらけ」が同様の〝万引き犯〟の公開をした事件を取り上げたことがありました。(2014.8.14.「“犯人”のネット公開は妥当か? 」)
このときのコメントと同様、私は、たとえ顔にモザイクをかけた状態であっても、ネット公開はすべきでないと考えます。
店側の気持ちは分かります。しかし、自力救済・実力行使を原則として認めず、国家を通じた救済に任せるというのが近代司法の考え方です。紛争の解決を自力救済に委ね、実力による権利の実現を認めれば、社会の安定性は維持できず、また、実力の差による被害回復の不平等も生じるからです。
店側による行為は、損害回復・犯罪抑止という意図を超えて、一種の私刑となって対象者の人権を著しく侵害しかねません。
万引き犯の画像公開事例が相次いでいるのには、店側にもそれぞれ事情はおありなのだとは思います。
が、人物や事物を「善」と「悪」とに二分して考えがちな、人が互いを疑い合うような、今の社会情勢を反映しているようにも感じられます。(浜島将周)