緑オリーブ法律事務所ブログ

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与党自公政権が、国民の猛反発を押し切って秘密保護法を成立させた2013年12月6日から、早いもので3年が経ちました。


濵嶌が事務局長を務める「秘密保全法に反対する愛知の会」は、秘密保護法が成立すると、日本社会に大きく2つの流れをもたらすだろうと言ってきました。


ひとつは、〝戦争国家化〟…国家がその国民に言えない隠し事をするというのですから、ろくなことはないわけで、戦争できる国づくりの一環だろうと予言しました。果たせるかな、安保法制まで成立させて、現行憲法上認められないはずの集団的自衛権行使容認に大きく舵を切りました。


もうひとつは、〝監視国家化〟…過剰なまでの秘密の徹底管理のためには、本来国民が知るべき情報を入手・伝達しようとするマスコミや市民の封じ込めが必要になります。マスコミや市民の動向を監視し、自由な行動を抑圧し、萎縮させるシステムをつくり上げるのです。


そのような国家のシステム構築の一環が、例えばマイナンバー制度の導入であり、例えば共謀罪創設の動きであるとは考えられないでしょうか。
また、自衛隊の情報保全隊がイラク派遣反対活動等をしていた住民の行動を監視していた事件、大分県警別府署が野党候補を応援する労働組合が入る施設に向けて監視カメラを設置し隠し撮りしていた事件、岐阜県警大垣署が風力発電施設による健康被害等に関する勉強会を開くなどした地元住民らの情報を収集し私企業たる事業者に提供していた事件などにより、国家が特定の市民団体や市民個人を監視している実態も明るみに出ました。


この点について、講師の愛敬浩二先生(名古屋大学大学院教授・憲法学)は、市民の政治的表現の自由の弾圧が、このような警察等による市民監視と、過度な政治的中立性の要求(最近のマスコミへの介入や公共施設の使用規制等)という2つの方向からなされていると整理されました。


そして、これらのことによって、私たちの政治的表現の自由に対して、意見の表明等がしづらくなる「萎縮効果」と、多数意見に同調しやすくなる「同調効果」が生じるのです。
私たちは萎縮することなく、安易に同調することなく、行動し、発言し続づけていきたいと思っています。


なお、会場には、大垣署事件の被害者(大垣署にプライバシー情報を収集され、事業者に提供されたみなさん)が駆け付けてくださいました。今月21日(水)、岐阜地裁に提訴するそうです。詳しくは「大垣警察市民監視違憲訴訟の勝利をめざす「もの言う」自由を守る会」HPをご覧ください。(浜島将周)


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