今年7月10日に行われた参議院通常選挙に関する一人一票実現訴訟(いわゆる一票の格差訴訟)について、濵嶌も原告代理人を務めた名古屋高裁訴訟の判決がありました。(NHK NEWS WEB・11月8日、CBC NEWS・11月8日、朝日新聞DIGITAL・11月8日、時事通信.COM・11月8日)
ちょっと分かりづらい判決で、
「投票価値の不均衡は…看過し得ない程度に達していた」と一方で言いながら、そのまま「ところで」とつなぎ、
今回の選挙前になされた選挙区の合区(鳥取県+島根県で1選挙区、徳島県+高知県で1選挙区、とする)や平成31年を目処とした選挙制度の抜本的見直しの予定といった国会の〝努力〟を高く評価し、 「看過し得ない程度に達していた投票価値の不均衡を正当化すべき特段の理由がある」 とまで言い切って、
結論としては、投票価値の不平等は、「いまだ違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたということはできない」 と締めくくりました。
一瞬「違憲状態」判決のようなふりをしていますが、「合憲」判決だと判断しました。
というか、記者会見でもコメントしましたが、この判決が合憲判決か違憲状態判決かなどと分類するのに知恵を絞るのは馬鹿げている、いずれにしても【一人一票】の実現からほど遠い判決なので、この曖昧な名古屋高裁判決を「合憲」判決だと分類した方が、私たちの立場を鮮明にできる、と考えました。
にしても、投票価値の看過し得ないほどの不均衡を認めておきながら、国会が努力しているから、違憲ではない、というのは、理解に苦しみます。明らかな不平等状態なのに、国会が努力さえすれば、平等になる…理屈になっていません。
本日付の中日新聞の社説が明快ですので、是非ご一読いただきたいと思います。
ともかく、これで、全国14の高裁・高裁支部で審理された16の訴訟の判決が出揃いました。違憲状態判決が10、合憲判決が6で、一人一票の実現を求めた判決もなく、違憲無効を明言する判決もなかったのは残念でした。
舞台は最高裁に移ります。名古屋高裁訴訟も即日上告しました。最高裁が国会に対して明確な意思表示をしてくれるものと信じています。(浜島将周)