厚生労働省が過労死等の概要や政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況を取りまとめた
『過労死等防止対策白書』が公表されました。
このブログでもお伝えした
過労死防止法(過労死等防止対策推進法)が一昨年の11月に施行されたのを受け(
2014.11.16.「過労死防止法が施行されました」)、初めてまとめられたものです。
同白書によると、昨年2015年度に過労死で労災認定された人は96人、過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は93人にも上ります。
過労死で労災認定された人は2002年度には160人に達していたそうですので、それと比べれば減ったといえそうですが、それでも年100人近く、過労自殺とあわせれば年200人近くが亡くなっているのです。
しかも、これらはあくまで労災〝認定〟された人の数です。
企業約1万社(ただし、回答は1743社)を対象に実施した調査結果によると、1か月の残業が最も長かった正社員の残業時間がいわゆる「過労死ライン」の80時間を超えた企業が22.7%にも及んだというのですから、認定されていない過労死、過労自殺が相当数あるのではないかとの疑念が拭い去れません。
時期を同じくして、電通の女性新入社員の自殺が労災と認定されたとの報道もありました。(
毎日新聞WEB・10月7日、
朝日新聞DIGITAL・10月8日)
「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現」(厚労省HPより)に向けて、官民が一体となった取組が求められます。
私も弁護士として過労死・過労自殺の案件に取り組むことで、そのような社会の実現の一助となりたいと考えています。(浜島将周)