「任意後見契約が年1万件を超えた」との報道がありました。(
朝日新聞DIGITAL・9月26日)
任意後見制度とは、本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、認知症など将来自己の判断能力が不十分になったときに備えて、後見事務の範囲・内容と後見する人(任意後見人)を、自らの判断で事前の契約によって決めておく制度です。
信頼できる人(親族、友人、弁護士等の専門家、社会福祉法人等の法人)を自らの判断で後見人の候補者に選び、その後見事務の範囲・内容も決めて、公証役場で公正証書を作成してもらいます。
その後、本人の判断能力が低下した場合に、後見人の候補者らが医師の診断書等をもとに家庭裁判所に申し立てて認められると、本人に代わって財産管理ができるようになります。
なお、家裁は「任意後見監督人」を選任して、後見人の仕事ぶりをチェックし、著しい問題があれば解任することができます。
この任意後見制度ですが、悪用され、悪質な業者らが任意後見契約を結んで自ら後見人となり、高齢者に不必要なリフォームを契約させて利益を上げるなどの被害が出ているそうです。
また、そこまであからさまな悪用でなくとも、信頼できるはずだった親族や(残念ながら)専門家が、後見人の地位を利用して財産を私的に流用してしまう事件も発生しています。
任意後見契約を含め、老後についてご心配のある方は、一度専門家にご相談ください。
元気で判断能力があるうちに、老後の財産管理や相続について決めておくことで、ご自身やご家族の紛争を未然に防ぐことができます。
当事務所では、任意後見制度に関するご相談・ご依頼をお請けしています。また、相続紛争を避けるための遺言書の作成など、ご高齢者の法律相談に広くお応えしています。(浜島将周)