たまたまかもしれませんが、債務整理のご相談で、消滅時効にかかわる事例が立て続けにありました。
1. 金融業者から督促状が届いた、以前そのサラ金から借りた債務の返還を求められている、というご相談。
→ 相談者によると、その債務については、もう10年近く取引(借りたり返したり)がないとのこと。
そうだとすれば、金融業者から借りた債務は5年で消滅時効となりますので(商法522条)、すでに時効期間が経過しています。
→ 受任して、「消滅時効を援用する(時効期間経過の事実を自己の利益のために主張する)」旨の内容証明郵便を送付しました。
金融業者からは何らの反応もありませんので、債務は消滅したと考えられます(私の経験では、消滅時効が成立していないという事情があれば、すぐに連絡してきます。)。
… これは、以前からしばしば見られたパターンです。
2. 裁判所から訴状が届いた、原告が金融業者で、以前そのサラ金から借りた債務の返還を求められている、というご相談。
→ その訴状を見ると、問題となっている債務については、もう10年近く取引がないことになっています。
そうだとすれば、すでに時効期間が経過しています。
→ 受任して、「消滅時効を援用する」旨の答弁書を裁判所に提出しました。
すると、原告の金融業者は、すぐに訴えを取り下げてきました。
… これは、以前にはあまり見られなかったパターンです。同様のご相談が複数ありましたし、後記3.のご相談もありましたので、時効期間が経過していようが、ひとまず訴えてみる、というのが、消費者金融業界ではやっているのかもしれません。
3. 裁判所から給与の差押え命令が届いた、債権者は金融業者で、以前そのサラ金から借りたことがある、そういえば、少し前に裁判所から訴状が届いていたが、無視していた、というご相談。
→ その差押えの債務名義(強制執行によって実現される権利の存在と範囲を公に証明する文書)となっている判決書を見ると、訴えられた時点では、時効期間が経過していた債務でした。
消滅時効は、債務者が援用しなければ効果が発生しません(民法145条)。裁判所から訴状が届いたときに、無視してほかっておくと、時効期間が経過した債務であっても、返還を命じる判決が下されます。
… このパターンでは、判決によって債務が存続することになりますので(時効期間はリセットされ、しかも10年になります。)、任意整理や自己破産等によるほかありません。
訴訟を提起されたら、むかしの借金だからと面倒がらずに、対応してください。
いずれのパターンでも、きちんと対応することが大切です。
当事務所は、借金・債務整理のご相談は、初回無料としています。まずはお気軽に、弁護士にご相談ください。(浜島将周)