大手精密機器メーカー オリンパスでの内部通報をめぐる再訴訟で和解が成立した、とのニュースが、広く報道されました。(
朝日新聞デジタル・2月18日、
産経ニュース・2月18日、
東京新聞/中日新聞・2月18日など)
オリンパスの社内に不正があると内部の窓口に通報したため不当に異動させられたとオリンパスを訴えて勝訴した男性従業員が、その後も不当な扱いを受け続けたとして再びオリンパスを訴えた裁判で、オリンパス側が今後、不当な扱いをしないと約束することや解決金を支払うことなどを条件に和解が成立した、とのことです。
不正を告発した企業の従業員や公務員らを保護するための「
公益通報者保護法」が成立したのが2004年、施行したのが2006年、ちょうど10年になります。
同法は、公益通報(内部告発)を理由とした解雇を無効とするなど(同法3条柱書)、公益通報者(内部告発者)に対する不利益取扱いを禁じています(同法5条)。
ただ、同法は、内部告発者の保護としては十分には機能していないのが現実です。今回の事件に限らず、内部告発者が会社から不利益を受けて被害者となってしまうケースが後を絶ちません。
その一番の要因は、今回の事件の男性従業員も記者会見で指摘していたようですが、現行法には内部告発者に不利益な扱いをした企業を罰する仕組みがないため、形骸化しているからです。
以前にも書きましたが(
『内部告発者が広く保護される仕組みづくりを』2015.1.23.)、内部告発者が安心して告発でき、広く保護され、被害者とならない仕組みづくりを進めるべきです。
今回の事件の教訓を、現在、国が進めている制度の見直しについての議論に反映させてほしいと思います。(浜島将周)