西日本高速道路第二神明道路事務所(神戸市)で道路の施工管理を担当していた男性従業員の自死について、労働基準監督署が労災認定した、男性の時間外勤務は最大月178時間に達し、退勤から次の出勤まで8分しかない勤務記録もあった、との報道がありました。(
神戸新聞NEXT・1月25日)
「働き過ぎが原因となって引き起こされる死」を、
過労死・過労自殺といいます。長時間労働による過労やストレスによって、心身の健康を損ない、ついには死・自死に至ってしまうのです。
健康障害の発症2~6ヶ月前に、80時間(月に20日出勤するとして、1日4時間以上の残業・12時間労働)を超える時間外労働をしている、また、発症1ヶ月前に、100時間(月に20日出勤するとして、1日5時間以上の残業・13時間労働)を超える時間外労働をしていると、長時間労働と健康障害との関連性があるとされています(あくまで目安なので、これを超えないと労災と認められないというわけではありません。)。
今回の事件が過労自殺であることは明らかだといえるでしょう。
一昨年、
「過労死等防止対策推進法」が成立、施行され、昨年7月には、過労死等の防止対策を効果的に推進するために、
「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定されました。
法では、過労死等を防止するために、①調査・研究、②啓発活動、③産業医等人材育成、④民間活動の支援を進めるとされ、大綱では、「将来的に過労死ゼロ」と明記され、2020年までに週労働時間60時間以上の労働者の割合を5%以下にすることや年次有給休暇取得率を70%以上に引き上げることなどが定められています。(大綱の全文は
こちら)
このように過労死・過労自殺をなくす取り組みが国を挙げてなされているのですが(ただし、現政権はその一方で、労働環境をより厳しくしているのですが…)、現実には、過労死・過労自殺のニュースは後を絶ちません。
厚生労働省のホームページには、「今後、大綱に即して、過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に向けて、各対策に取り組んでいきます。」と書かれています。是非実現してほしいものです。
私たちも労働問題(労働者側)に取り組む弁護士として、その実現に微力を尽くしたいと思います。(浜島将周)