緑オリーブ法律事務所ブログ

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昨日のブログ記事に関して、いくつか補足します。

自筆証書遺言は、遺言書のすべてが遺言者の自筆によるものであること、作成日付を正確に書くこと、遺言者が署名・押印することなど、民法に書式が厳格に定められていて、それらの決まった方式で作成しなければ効力がありません。
例えば、一部であっても妻が代筆した、署名は自筆だが本文はワープロ打ちした、作成年は記載したが作成日までは記載しなかった…いずれも無効です。

自筆証書遺言では、家庭裁判所での「検認」手続が必要になります。
検認とは、相続人に対し遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならないとされています。
検認前の遺言書を持って行っても、法務局は不動産の名義変更をしてくれませんし、銀行は預金の解約をしてくれません。検認後に作成される検認調書または検認済証明書を添付する必要があります。

検認は、いわば遺言書の書式・形式の確認手続です。遺言書の有効・無効を判断する手続ではありません。
検認手続が終われば、たとえ本当は遺言書が第三者による偽造であったとしても、登記手続などができてしまいます。遺言書が無効だというなら別途、遺言無効確認訴訟を提起して争うなどする必要があります。

封印のある遺言書については、家庭裁判所で相続人等の立会いのうえ開封しなければならないことになっています。家庭裁判所外で勝手に開封した場合は、5万円以下の過料に処されてしまうので、注意が必要です。
もっとも、検認はあくまで外形的な確認手続ですから、勝手に開封されてしまった遺言書も、それだけで直ちに効力が失われるわけではありません。(浜島将周)

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