少し前の報道ですが、法務省が自筆遺言の簡略化を検討しているとのことです。(
中日新聞・12月26日)
遺言書には大きく分けて、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
自筆証書遺言は、1人で作成できることが最大のメリットですが、遺言書のすべてが遺言者の自筆によるものであること、作成日付を正確に書くこと、遺言者が署名・押印することなど書式が厳格で(これらが少しでも守られていないと遺言書が無効になる。)、また死亡後に家庭裁判所での「検認」手続が必要となるなどの煩わしさがあります。
公正証書遺言は、法務大臣から任命された法文書作成のプロである「公証人」が遺言者から内容を聞いて作成するもので、原本は公証役場にも保管されます。自分一人では作成できないという煩わしさはありますが、確実な遺言書作成ができるというのが最大のメリットで、弁護士としては一般に、こちらをお勧めしています。
いわゆる「終活ブーム」の影響なのか、遺言書を作成する方が増えているようで、公正証書遺言の作成も増えているそうですが、自筆証書遺言に関する家庭裁判所での検認も増えているそうです。この状況を受けての法務省の動きなのでしょう。
もっとも、自筆遺言を簡略化するという方向性にも異論が強いらしく、結論が出るのはまだ先のようです。
いずれにせよ、せっかく遺言書を作成するのであれば、形式面で遺言書が無効になってしまったり、内容面でかえって相続人間に紛争が起こったりしないように、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。(浜島将周)