同性カップルの法的保障
2015-03-06 · by blogid · in
憲法,
先日,名古屋で同性愛者ら性的マイノリティーのための成人式が行われたとの報道がありました。先月には,東京都渋谷区が,全国で初めて同性カップルに「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する方針を発表して話題になりました。
現状では,こうした同性カップルについては,法的・社会的にみて何も保障されていません。そうするとどのような不都合・不利益が生じるのでしょうか。
同性パートナー(Aさん)が亡くなる場合を考えてみます。まず,Aさんが救急搬送されたとき,他方の同性パートナーBさんには,「家族」でないからという理由で搬送先の病院を教えてもらえないことがあります。また,Aさんの死亡保険金の受取人をBさんに指定できないためにBさんが保険金を受け取ることができません。また,Bさんは法定相続人にはなれないため,Aさんの遺言がなければBさんがAさんの遺産を取得することはできませんし,遺言があっても配偶者の税額軽減措置は受けられません。他にも,同性パートナーを会社の健康保険の扶養に入れられない,同性パートナーの介護に介護休業が使えないなど,生活の様々な場面で同性カップルは不利益を受けています。
憲法24条には,婚姻は「両性の合意のみ」に基づいて成立するとありますが,憲法ができた背景を見れば,戦前の家制度の否定や男女平等が立法の趣旨であり,法制定当時に同性婚を否定したわけではないと考えられます。さらに,憲法13条「個人の尊重・幸福追求権」,14条「法の下の平等」,24条2項「個人の尊厳と両性の本質的平等」の観点からいえば,同性パートナー同士が結婚したい場合には,男女のカップルと同様の制度を用意することが憲法の趣旨に沿っていると言えるでしょう(LGBT支援法律家ネットワーク有志)。
世界では,西欧を中心に,同性婚や同性パートナーシップ制度の導入が広がっています。(亀井千恵子)