このブログでも,性暴力被害者支援センターの重要性と公的支援の必要性について,記事を書きました(2014年5月15日)。
このたびの報道によると,2016年1月,名古屋市内の総合病院(名古屋第二赤十字病院)に,24時間対応のセンターが立ち上がるそうです。
対象となる性暴力は,刑事事件になるような犯罪によるものばかりでなく,家庭や学校,職場などで受けるあらゆる性的被害(意に沿わない性的なこと,本当は嫌な気持ちで応じさせられた性的なこと)が広く含まれると思います。
性被害は,知らない人からというよりも,知っている人から受ける場合が多いことは統計的にも知られています。家庭では親(性的虐待),きょうだい,配偶者やパートナー(いわゆる性的DV),交際相手からのいわゆるデートDV,職場でのセクハラ,学校や塾,クラブなどで先生等の指導的立場にある人から受ける場合もあるでしょう。高齢者や障がい者の方に対する性的被害のケースもあります。
被害自体によって心も体も傷つき,その後の社会生活や人生へのマイナス影響も大きいのに,加害責任の追及の困難さやその過程で受けるいわゆる2次被害も深刻な問題であり,何重にも傷つくことになってなかなか被害「回復」に至らないのが性被害です。
被害直後から,時間帯を問わず,医療,心理,司法などの総合的サポートがワンストップで受けられる場所があることで,被害者の負担を減らしながら,その後の対応をよりスムーズに行える可能性がありますので,このようなセンターの社会的意義はとても大きいと思います。
同センターの2年度目以降の運営資金のめどはたっていないようですが,24時間,専門的訓練を受けた人が常駐する体制と場所を確保するには,相応のコストがかかります。継続的な運営,設備面や人的体制をより充実させるためにも運営資金の調達は大きな問題です。
年齢・性別を問わず,社会の様々な場で被害が発生する可能性がある問題ですから,公的費用負担が本来かと思いますが,企業・団体を含む市民の方からの寄付が大きな支えになるのではないかと思います。
(橫地明美)