このブログでも何度か取り上げている
政務調査費(現在は
政務活動費)について、最高裁が、1万円以下の支出の領収書であっても公開するよう命じる決定を出しました。(
産経新聞WEB版・10月29日)
この事件は、岡山の市民オンブズマンが、岡山県議の2010年度の政務調査費に違法な支出があったとして返還を求めた訴訟で、1万円以下の領収書の提出命令を出すよう求めていたものです。
実は、都道府県議会の中では、現在では岡山県議会だけが、政務活動費(政務調査費)の領収書提出に金額制限を設けていました。
最高裁は、「全面公開すれば、情報収集した相手の氏名が明らかになり、調査活動の妨げとなる」という県議側の主張を退けて、領収書の提出が義務付けられているのは「調査研究活動の自由をある程度犠牲にしても、使途の透明性の確保を優先させるという政策判断がされた結果と見るべきだ」と指摘し、提出対象を1万円超としたのは事務負担への配慮にすぎず、1万円以下の領収書であっても「金額の多寡にかかわらず領収書などの保存義務があり、外部への開示が予定されていないとはいえない」と判断したとのことです。
議員による不適切な支出が相次いでいることから、最高裁としても使途の公開について厳しい判断をしたのでしょうが、情報公開、それにより市民が行政による不正・不当な行為を監視していこうという考え方からは当然のことです。
なお、この最高裁決定を受けて、岡山県議会の自民党県議団が、収支報告書に全支出の領収書添付を義務付ける条例改正案を議会に提出する方向で検討に入った、同県議会は自民を除く他会派や無所属議員はいずれも「全支出」を対象とする条例改正に賛成の立場で、自民が改正案を提出すれば全会一致で可決される見通しだ、とのことです。(
山陽新聞WEB版・10月29日)
これで全都道府県議会で、政務活動費の領収書提出に金額制限がなくなります。市町村議会についても、さらに国会の文書通信交通滞在費についても、全面公開を実現してほしいものです。(浜島将周)