緑オリーブ法律事務所ブログ

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私戦予備・陰謀罪とは?
2014-10-10 · by blogid · in 刑事事件,
イスラム過激派組織「イスラム国」に参加するためシリアに渡航しようとしたとして、私戦予備・陰謀罪の疑いで、北海道大学の学生らを事情聴取し、関係先を家宅捜索したとのニュースが大きく報道されました。(毎日新聞WEB版・10月6日

日本人の「イスラム国」への参加という内容も気になりますが、個人的に気になったのは私戦予備・陰謀罪
弁護士になって、実際にこの罪で捕まった人の弁護をしたことはありませんし、寡聞にして聞いたこともありません。司法試験でも勉強しただろうか?というくらい聞き慣れない罪名です。

そこで、事務所にあった刑法の本を広げてみました。

私戦予備罪とは、外国に対する私的な(国家の合法的な意思に基づかない)武力行使をすることを目的として、準備行為(武器弾薬・食料・資金の調達・準備、兵員の募集など)をすること、とされています。
私戦陰謀罪とは、私的な戦闘行為の実行のために、2人以上の者が謀議・計画をすること、とされています。

報道による限り、今回の北大生は「イスラム国」へ行って兵士になろうとしていただけのようです。自ら準備行為をしていたわけでも、謀議・計画をしていたわけでもなさそうです。
だとすると、そもそも私戦予備・陰謀とはいえないので、本罪は成立しないのではないか?と思えます。

もっとも、関西大学の永田憲史准教授によれば、外国軍隊に参加することも準備行為となるという学説もある、とのことですので(永田教授のツイッター発言による)、この学説によれば、本件の場合も私戦予備といえるかもしれません。
ただ、そうすると、日本人で海外の傭兵になった人もいた(いる)と聞きますから、今回の北大生だけが本罪に問われるのもおかしな気がします。

なお、『新コンメンタール刑法』(日本評論社)180頁には、次のように書かれていました。
「日本の場合、憲法9条が「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使」を放棄しているので、国家機関の戦闘行為は、それが憲法に違反しているがゆえに、「私的な戦闘行為」にあたる可能性がある。」
…そうすると、自衛隊が集団的自衛権により海外で武力行使しようと準備を始めると、私戦予備ということになるのでしょうか。(浜島将周)

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