緑オリーブ法律事務所ブログ

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「市民が行政機関に情報の開示を求める際、都道府県だと請求手数料は無料だが、国だと有料となる」との報道がありました。(中日新聞/東京新聞・10月5日朝刊

「知る権利」を具現化したものが情報公開法・情報公開条例ですから、市民オンブズマンは、より利用しやすい情報公開法・情報公開条例のために、手数料は無料とすべきだと訴えてきました。
その成果もあって、かつては有料としていた地方自治体も、無料化へと条例改正をしました。
現在では、都道府県に限らず市町村も含めた地方自治体については、情報開示にかかる手数料は無料というのが一般的で、手数料を有料とするのはむしろ少数派です(写しの作成実費を除く)。
しかし、情報公開法施行から15年。国については、いまだに有料のままです(開示請求にかかる行政文書1件につき手数料300円)。

実は、過去には、国についても手数料を無料としようという動きがありました。2011年、当時の民主党政府は、手数料を原則無料とする情報公開法改正案を国会に提出しました。
しかし、同改正法案は一度も審議されないまま廃案。それどころか、情報公開を後退させる秘密保護法の制定が検討されるようになりました。
翌年に政権復帰した自民党政府は、情報公開法改正の動きを止めたまま、秘密保護法の制定にひた走ったのは記憶に新しいところです。

国が手数料を有料としているのは、情報公開請求が濫用されるのを防ぐためだとされています。
たしかに、一度にあまりの大量請求など、行政手続を停滞させてしまうような事態を生じさせるのは問題です。地方自治体レベルでは、業者が営利目的で電磁的記録の大量請求を行い、少しの実費で大きな経済的利益を上げていることが問題となっています。
このため、例えば、営利目的である場合には、手数料を徴収する例(ex.神戸市情報公開条例では、「合名会社、合資会社、株式会社若しくは有限会社が公開請求をする場合又はこれらの法人に勤務する者がこれらの法人の業務の執行のために公開請求をすることが明らかであると認められる場合」には、公開請求書1件につき1000円の手数料を徴収することとしている。)や、実施機関が行う許可等に関して調製しまたは保管する公簿等について公開する場合には、手数料を徴収する例(ex.中野区区政情報の公開に関する条例では、このような場合、1件につき300円の手数料を徴収することとしている。)も増えています。
情報公開法改正案も、これと同じような例外規定を置いた上で、原則無料化しようとしていました。また、行政側が公序良俗に反すると認めた場合は、開示義務を負わないという乱用防止規定も盛り込まれていました。

「情報は民主主義社会の血液」だと言われます。
政府がすべきは、秘密保護法の制定ではなく、より利用しやすい情報公開法への改正ではないでしょうか。まずは手数料の無料化を早急に実現いただきたいと思います。(浜島将周)

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