緑オリーブ法律事務所ブログ

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「部長、その恋愛はセクハラです!」牟田和恵/集英社新書 を読みました。
いかにもセクハラ、というのではない「グレーゾーン」でおこる事案について、 (おもに)男性が勘違いをして加害者となってしまうメカニズムや心理、被害にあった女性が加害者に「ノー」と言いづらい社会的背景と心理、 組織や加害者の事後対応によって被害がさらに深刻化してしまう状況、... 加害者にならないためにはどう対応をすればよいかなど、 ソフトな語り口で書かれていて読みやすいです。
セクハラについては、 以前に比べれば、社会的な認知も広がって、行政、企業、大学などでの取り組みも少しずつ進んできているようです。
・職場におけるセクハラ対策(厚生労働省パンフレット) http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/120120_15.pdf
・セクハラが原因で精神障害を発病した場合に労災保険の対象になります(厚生労働省パンフレット) http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/120827.html
しかし、ハラスメントが多発している流れの一環なのか、まだまだ深刻な事案は多いと感じています。
裁判例などでは(和解した場合は和解内容が公開されないものが多いので、公表されているのは判決に至ったもの)、裁判官の判断はかなり厳しく、 違法行為と認められなかったり、違法で加害者に責任ありと認められても、被害実態からみて損害賠償額が低いと感じるものが多く、 加害者への抑止効果が薄いと思います。
職場でのセクハラであれば在職中、学校でのセクハラであれば学生の身分でいる間は、 仕事や学業などがかかっているため、被害にあってもなかなか相談しづらいと思いますが、 所属組織での対応や、相手方との話し合いによって解決できる場合もあります。 弁護士が交渉の代理人になることもできますので、悩まれている方は、ご相談ください。(横地明美)

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