緑オリーブ法律事務所ブログ

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4月10日に、少年法の一部を「改正」する法律が成立しました。重大な「改正」案ですので、何回かにわけて説明をしたいと思います。   第1回目は、国選付添人制度の拡充についてです。これは、私たちの所属する日本弁護士連合会が従前から求めていたもので、まさに「改正」と言えるものです。 「国選付添人」の説明の前に、まずは、「付添人」の説明が必要ですね。   付添人とは、家庭裁判所に送られた少年につく、簡単に言うと、成人事件でいう「弁護人」のようなものです(実際はかなり違いますし、その違いが重要なのですが、それはまた別の機会に。)。ちなみに、家庭裁判所に送致されたのが女の子であっても「少年」と呼ばれます。今では慣れましたが、最初はとても違和感がありました。 付添人の役割については、諸説ありますが、今では、「少年のパートナー」というのが通説になっています(付添人パートナー論)。これは、私の所属する愛知県弁護士会子どもの権利委員会の多田元委員長が提唱したものです。なお、付添人は弁護士以外の人も、家庭裁判所の許可を得ればなることができます(少年法10条1項)。 付添人パートナー論が提唱される前は、付添人は刑事弁護人としての性格と家庭裁判所の協力者としての性格を持つとの説もありました。しかし、今では、付添人は、少年が自分の非行や審判をどう理解し、乗り越えていくか、少年に寄り添い、少年の自立を援助するという付添人パートナー論が通説となっています。この考え方は、子ども(児童)の権利条約の考え方にも合致します。   私が弁護士を始めた10年前には、弁護士が少年事件に関与することは決して多くはなく、上記多田弁護士や私も含め、一部の弁護士が何件も同時に事件を抱えて対応していました。 少年と向き合い、少年の自己決定を引き出すには、何回も面会に行き、少年の多くの時間を共有することが大切になります。 テレビドラマのように1件の事件にかかり切りになって事務所経営ができると良いのですが、現実はそう甘くないので、多くの弁護士は数十件の事件を同時並行で抱えているわけです。他の事件の事件処理と並行して、少年鑑別所に週に数回通い、少年と面接をする時間を確保する(しかも、平日昼間)というのは、かなり時間も労力も必要です。 もちろん、それに見合った報酬が得られれば良いのですが、少年の親に弁護士費用を払える資力がない場合も多く、また、資力があっても非行の背景に親との確執や虐待等の問題があり、少年の自己決定のためには親からの援助を受けるべきではないという場合もあり、必然的に、当時の扶助制度を利用して報酬をもらうことが多くなりました。 扶助制度というのは、例えば、困っていて弁護士をつけた方が絶対にいいけれど、毎日の生活がやっとで、弁護士費用を払うお金がないという人がいます。それをそのままにすると、お金のない人は法的援助が受けられないとなってしまいますよね。 そこで、弁護士が弁護士会費にプラスして法律扶助協会というところにお金を支払い、その支払われたお金を原資として、お金のない人の事件を受けた弁護士になけなしの報酬を支払ってくれるという、まさにたこ足のような制度をつくりました。(依頼者は分割払いで弁護士費用を支払いますが、様々な事情で支払えない人は免除されます)。これが、扶助制度です。要するに、自分達の払ったお金から報酬をもらうわけです。 なお、弁護士達の涙ぐましい努力の結果、確かにそのような制度が必要だということが理解され、数年前から、大部分を法テラスという国の機関が税金でまかなってくれています。(一部はまだたこ足制度が残っていますが・・・。) そのような扶助制度を利用する場合、普通に事件を受任するのに比べて、弁護士費用は格段に安くなります。時間も労力もかかるし、弁護士費用も少ないということでは、付添人になる人が少なくなるのも当然です。付添人を一生懸命やる弁護士の中には、「赤字にさえならなければいい」という思いで行っている人も多いです(実際には、事務所の人件費等を考えると、赤字ですが・・・。)。また、付添人の必要性ということも一部の弁護士しか理解していなかったことも付添人が少なかった一因かもしれません。   長くなってきたので、次回に続きます。(間宮静香)

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