



今回の衆議院総選挙についても、2月8日の投票日の翌日9日に、全289小選挙区について、一人一票実現訴訟(いわゆる一票の格差訴訟)を全国一斉提訴しました。(朝日新聞DIGITAL・2月9日、中日新聞Web・2月9日)
名古屋高裁管轄の全25小選挙区(愛知県16選挙区、岐阜県5選挙区、三重県4選挙区)についても提訴し、夕方のニュースで各局に取り上げていただきました。(NHK ONE・2月9日、中京テレビNEWS・2月9日)
私たちの弁護士グループによる一人一票実現訴訟の経緯と、それに対する裁判所の判断の経緯については、当ブログの過去の記事をご覧ください。(前回の総選挙について、2024年10月29日「一人一票実現訴訟、全国一斉提訴(2024衆院選)」、2025年2月20日「一人一票実現訴訟 名古屋高裁判決(2024年衆院選)」、2025年9月27日「一人一票実現訴訟 最高裁判決(2024衆院選)」)
前回2024年10月の総選挙においては、「アダムズ方式」による新たな区割り制度が実施されたことを受けて、各地の全高等裁判所・支部すべてで合憲判断となりました。最高裁判所も、「アダムズ方式」について、「人口の異動で格差が拡大することを前提に、選挙制度の安定性も考慮し、格差を相当程度縮小させた状態が安定的に持続するよう設けられたもので、合理性がある」と評価して、選挙当日で最大2.06倍もの「一票の格差」があったにもかかわらず、「自然な人口異動以外の要因で格差が拡大した事情はうかがわれず、拡大の程度も著しいとはいえない」として、合憲判断を示しました。
しかし、私たちは、2倍もの最大較差があること=0.5票分の価値しかない一票が存在していること自体がおかしいと考えていますから、(ほぼ)2倍基準に達しているから合憲だとは思えません。「アダムズ方式」も、むしろ2倍の較差を固定化するものとして、評価に値しないと考えます。
〝1倍〟=一人〝1票〟が実現され、誰にも等しく1票ずつが与えられ、投票価値の平等が達成されてはじめて、民意を正しく反映した国会が形成されます。私たちが求めているのは、そのような民意が正しく反映された国会による意思決定です。
さて、今回の総選挙は、一票の格差問題だけでなく、前回総選挙から1年4か月しか経っていない(任期がまだ2年8か月もある)のに、さしたる理由もなく7条解散が強行されたこと、また、短期間で実施されたゆえ、各政党・候補者が政策を十分に訴えるだけの準備・時間がなかったこと、海外在住者の郵便投票が間に合わない事例などがあったこと、さらに、2月の選挙戦ゆえ、投票が困難な有権者(豪雪地帯在住者だったり、受験生だったり)もいたことなど、憲法上いくつもの問題のある選挙でした。そのような選挙で選出された議員に、はたして憲法上の正当性があるのか、疑問があります。
衆議院で与党が2/3を大きく超えたことから、憲法改正を進めるべきだとの声も高まっているようですが、憲法上の正当性に疑義のある議員が議論すべきことではありません。
国会がまずおこなうべきは、一人一票の実現、一票の較差解消です。その際には、今回の総選挙でも、日本における多党化の実態と小選挙区制度のミスマッチが顕在化したように思いますので、あわせて、選挙制度の抜本的見直し(議員定数削減でなく)も検討いただきたいです。
今回の訴訟にも是非ご注目ください。(浜島将周)
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