



東日本震災時の東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故で福島県から愛知県等に避難した避難者のみなさんが、国と東電に対して損害賠償を求めた訴訟について、最高裁判所(第一小法廷)は、避難者原告らの上告を退ける決定をしました。東京電力には賠償を命じる一方、国の責任を否定した第一審・名古屋地方裁判所および控訴審・名古屋高等裁判所の判決(当ブログ2023年12月1日「原発避難者訴訟、名古屋高裁も国の責任を認めず」)が確定しました。(朝日新聞DIGITAL・1月26日、東京新聞WEB・1月26日、NHK NEWS・1月26日)
濵嶌も代理人に加わっていた「だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜」を含む全9訴訟について、同時に判断されました。全9訴訟共同の抗議声明を、後ろに貼り付けておきます。
なお、「だまっちゃおれん!訴訟」は、1月30日、全9訴訟共同の記者会見とは別に、名古屋で記者会見をしました。(中京テレビ・1月30日)
中京テレビが原告のお一人にカメラを向けた長めの報道を、以下からご覧いただけます。→こちら
弁護団は、今後も、被害の直視と救済、そして二度と原発事故を起こさせないために原発のない社会を目指し、活動を続けていきます。(浜島将周)
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最高裁の上告棄却及び上告受理申立不受理決定に抗議する声明
2026年(令和8年)1月26日
2026年(令和8年)1月22日、最高裁判所第一小法廷(安浪亮介裁判長、岡正晶裁判官、宮川美津子裁判官、中村愼裁判官)は、裁判官4名全員一致にて、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所事故につき、国による規制権限不行使の違法を問うて損害賠償を提起していた裏面の9訴訟に対して、避難者らの上告・上告受理申立てについて、それぞれ上告棄却・上告受理申立て不受理の決定を出した。
福島原発事故に対する国の規制権限不行使の責任を問う避難者らの訴えについては、最高裁判所第二小法廷が2022年(令和4年)6月17日に国の責任を否定する判決を下している。しかしながら、この6.17最高裁判決に対しては、法学研究者からその論理展開を含めて厳しい判例批評がなされているほか、避難当事者のみならず市民社会からも行政の怠慢を司法が免責する判断であるとして広く批判がされているところである。6.17最高裁判決には三浦守判事による詳細かつ説得的な反対意見が付されており、同判決の多数意見の法律論の破綻は三浦反対意見によって明らかである。
ところが、6.17最高裁判決以後、各地の下級審裁判所は6.17最高裁判決の多数意見に追従し、国による規制権限不行使の違法及び国賠責任を認めない判断を重ねてきた。さらに、2024(令和6)年4月10日には、最高裁第三小法廷が先行した同種事案に対して、上告棄却・不受理の決定を出している。
今般、第一小法廷に係属し、上告棄却・上告不受理決定がだされた訴訟は9訴訟であるところ、これら9訴訟はいずれも6.17最高裁判決後に高裁判決の言い渡しを受けた訴訟である。9訴訟の中には第一審の地裁判決が国の規制権限不行使の違法及び国賠責任を認めたものもあるが、高裁段階ではいずれも6.17最高裁判決に追従した判断となった。中には、6.17最高裁判決の多数意見を“コピペ”した高裁判決もあったほどである。
私たち9訴訟の原告団・弁護団は、6.17最高裁判決及び同判決多数意見に盲従する下級審の誤りをただすべく、事実関係の誤認・見落としを指摘し、規制権限不行使の判断枠組みとして予見可能性についての判断から結果回避可能性を判断することなく、雑な因果関係論にて違法を認めない6.17最高裁判決の理論的欠陥を指摘し、6.17最高裁判決多数意見の誤りは最高裁自らが正すべきであるとして、本件を大法廷に回付し、慎重に審議を行うよう求めてきた。
にもかかわらず、第一小法廷は裁判官全員一致にて、上告棄却・上告受理申立て不受理の決定を行ったものである。裁判官の独立を放棄し、漫然と従前の例にならったと批判されるほかない。
本件事故から15年が経とうとしている今日もなお、本件事故によって住み慣れた地域を追われ、未来を変えられ、健康を脅かされ、人生を奪われた被害は、未だ収束することがない。避難者ら原発事故被害者による訴訟も、今なお多数たたかわれている。
私たちは、司法の自殺というべき今回の不当決定に抗議するとともに、これからも東京電力・福島第一原子力発電所事故発生について、国が真摯にその責任に向き合うよう、追及を続ける所存である。
以上
【千葉訴訟】
*上告・上告受理申立人:8名
【愛知・岐阜訴訟】
*上告・上告受理申立人:11名
【だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟愛知・岐阜】
*上告・上告受理申立人:20名
【山形訴訟】
*上告・上告受理申立人:135名
【みやぎ訴訟】
*上告人1名、上告受理申立人4名
【新潟訴訟】
*上告・上告受理申立人:91名
【東京訴訟】
*上告・上告受理申立人:44名
【かながわ訴訟】
*上告・上告受理申立人:69名
【原発賠償京都訴訟】
*上告・上告受理申立人:94名
以上
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