緑オリーブ法律事務所ブログ

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 半年ほど前にご紹介した、妊娠中の女性が自動車にはねられ死亡した交通事故において、事故後に生まれた赤ちゃんが重い障害を負っていた事案で、女性に対する自動車運転過失致死罪のほか、赤ちゃんに対する自動車運転過失傷害罪が成立するか?の問題について(当ブログ2025年9月4日「胎児も「被害者」になれるか?~いわゆる「胎児性傷害」について」)、結論として、検察官は、赤ちゃんに対する自動車運転過失傷害罪の適用を見送ったとの報道がありました。(朝日新聞DIGITAL・1月26日毎日新聞WEB・1月27日
 ただし、被害者遺族の要望等をふまえ、起訴状の訴因(検察庁が訴える犯罪事実の概要)には「胎児に胎児機能不全を生じさせる循環不全などの傷害を(女性に)負わせた」として、赤ちゃんの名前と母体内で受けた影響が追記されたとのことです。


 検察官は、取材に対し、過失傷害を適用しなかったことについて、「刑法上は胎児は母体の一部であり、人に対する傷害と判断するのは困難だった」と説明した上で、訴因変更した理由は「事故で生じた結果の実態を正しく裁判所に判断してもらうため、審判の対象として明示した」と述べたとのことです。


 前回も書きましたが、個人的には、罪刑法定主義という大原則には忠実であるべきで、適用を断念した上で、訴因の追記をした今回の検察官の対応は、妥当だと考えます。
 この事件をきっかけに、今後、立法的解決が検討されるか、見守りたいと思います。(浜島将周)



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