緑オリーブ法律事務所ブログ

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 今年7月20日に行われた参議院通常選挙に関する一人一票実現訴訟(いわゆる一票の格差訴訟)について、一昨日、濵嶌も原告代理人を務めた名古屋高等裁判所管轄の訴訟の判決がありました。(CBC NEWS X・10月30日メ~テレ・10月30日中日新聞WEB・10月30日朝日新聞DIGITAL・10月31日など)
 なお、同日には、東京高等裁判所および高松高等裁判所でも判決が言い渡され、全国で報道されました。(日経新聞WEB・10月30日毎日新聞WEB・10月30日など)


 今回の訴訟の経緯や注目ポイントなどは、提訴時の記事をご覧ください。(当ブログ2025年7月23日「一人一票実現訴訟、全国一斉提訴(2025参院選)」


 名古屋高裁・東京高裁・高松高裁の三判決は、残念ながらすべて「合憲」判断でした。しかし、名古屋高裁判決と東京高裁判決を比較してみると、両者はまったく別物です。
 両者とも、「投票価値の平等」の重要性から、国会が、較差のさらなる是正を図るとともに、これを再び拡大させずに維持していくための必要となる方策等について議論し、取組みを進めることを求めています。
 その上で、名古屋高裁判決は、2019年参院選で最大3.00倍→2022年参院選で3.03倍→2025年参院選で3.13倍と推移している較差は「有意な拡大傾向にあるとまではいえない」という判断を前提に、取組みが進まないことも、合区された選挙区での投票率が低下するなどしていて、国民の意見も割れていることから、議論に「一定の時間を要することにはやむを得ない」としました。「このまま様子見を続けます」と宣言したに等しい判決だといわざるを得ません。
 これに対して、東京高裁判決は、較差は「看過しがたい拡大傾向」にあるという判断を前提に、合区解消を求める声が出ていて「議論が振り出しに戻った局面」だしても、「結論の先延ばしは違憲の判断も免れない」と強調し、参議院改革協議会の報告書が次回参院選をめどに一定の結論を出すと明記したことから、「デッドラインは2028年参院選まで」と明言して、議論を先延ばしすれば「違憲判断も免れない」としました。


 国会に自浄能力がないなら、裁判所は遠慮せずに司法判断を示すべきです。


 私たち弁護士グループは、今回の参院選について、全国の14高裁・高裁支部のすべてで提訴しています(もうひとつのグループも別に2高裁で提訴しています。)。
 この記事を書いている10月31日時点で、大阪高裁:合憲、名古屋高裁金沢支部:違憲状態、高松高裁:合憲、名古屋高裁:合憲、東京高裁:合憲(ただし、期限付き)、広島高裁(別の弁護士グループによるもの):違憲状態、福岡高裁:違憲状態と判断は分かれています。すべて上告される予定ですので、来年になりますが、最高裁の統一判断にご注目ください。(浜島将周)



― 緑オリーブ法律事務所は名古屋市緑区・天白区・豊明市・東郷町を中心にみなさまの身近なトラブル解決をサポートする弁護士の事務所です ―

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