緑オリーブ法律事務所ブログ

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 最近また、借金(債務整理)のご相談で、消滅時効の援用通知を送れば済むような事案を、いくつか受けました。特定の弁護士・法律事務所が、債権者(あるいは債権回収業者)の代理人として、督促通知を送ってくる場合が目立つように思います。
 弁護士・法律事務所からの督促通知だからといって、もし、その債務が消滅時効にかかっているなら、時効援用して、返済しなくて済むことに変わりありません。
 ずいぶん以前の記事(当ブログ2016.6.28.「その借金、もしかしたら消滅時効で支払わずにすむかも」)と重複するところもありますが、あらためて、債務整理と消滅時効について、書いておきます。



1. 消滅時効が成立するまでの期間


 1) 2020(令和2)年4月1日以降に発生した債権の場合
  民法改正により、債権の消滅時効の時効期間は、原則として主観的起算点(債権者が権利を行使することができることを知った時)から5年、または、客観的起算点(権利を行使することができる時)から10年のいずれか早い方になりました。


 2) 2020(令和2)年3月31日以前に発生していた債権の場合
  改正前民法が適用され、原則として客観的起算点から10年です。
  ただし、商事消滅時効(商法522条)が適用される場合は5年になります。商事時効にあたるかどうかは、端的にいうと、債権者(貸主)が「会社」かどうかにより、消費者金融や銀行からの借入れはあたる(5年)、個人からの借入れはもちろん、奨学金や信用金庫、信用組合などからの借入れはあたらない(10年)とされます。



2. 消滅時効が認められない場合


 時効期間経過後であっても、債権者(貸主)が、督促通知を送るにとどまらず、裁判の起こすことがあります。
 時効援用するかどうかは債務者(借主)の自由なので、訴訟提起自体は違法ではありません。もともと時効期間が5年の債務でも、裁判を起こされ、判決が確定してしまうと、時効期間は判決から10年となります(時効の更新)。ですので、訴訟提起がされたら、放置せず、すぐに弁護士に相談するなどしてください。ときどき、放置していて、実は消滅時効が成立していない、ということがあります。


 また、債務者(借主)が債務の承認をしてしまって、時効が更新されることもあります。
 送られてきた通知書に驚いて、債権者(貸主)やその代理人弁護士・法律事務所に電話して、返済方法について約束したり、実際に少しでも返済してしまったりすると、債務者(借主)が債務があることを認めたことになって、時効援用ができなくなってしまいます。


 もう長年借入れも返済もしていないし、消滅時効が成立しているのでは?と少しでも疑問に感じたら、債権者(貸主)やその代理人弁護士・法律事務所に連絡する前に、弁護士に相談するなどしてください。(浜島将周)



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