緑オリーブ法律事務所ブログ

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 昨日6月1日から、これまで刑罰として科されていた自由刑「懲役刑」と「禁錮刑」が廃止され、「拘禁刑」に一本化されました。1904(明治40)年の刑法制定以来、約120年変わらなかった刑罰の在り方の大転換で、大きく報道されています。(朝日新聞DIGITAL・6月1日産経新聞Web・6月1日毎日新聞Web・6月1日読売新聞ONLINE・6月1日)(なお、当ブログ2022年6月14日「「懲役」刑を廃止して、「拘禁」刑を創設」もご覧ください。また、NHK NEWS WEB・6月1日も参考になります。)


 これまでの「禁錮刑」とは、受刑者を刑務所に入れて自由を制限する刑罰です。「懲役刑」とは、刑務所に入れた上で、所定の刑務作業(木工、印刷、炊事等)を義務として課す刑罰です。
 刑法上は、禁錮刑よりも懲役刑の方が重いとされていたのですが、実際には、むしろ何もしないでいるほうが苦痛だとして、刑務作業を希望する禁錮刑受刑者も多くて、8割以上の禁錮刑受刑者が刑務作業をしていたそうです。
 また、懲役刑の刑務作業は、もともとは「懲(こ)らしめ」のために「役(えき=労働)」を課すという意味だったはずですが、最近では、罰としての苦役というより、指導や職業訓練という意味合いが強くなっていました。


 新しく始まった「拘禁刑」は、受刑者を刑務所に入れて自由を制限するという自由刑ではあるものの、受刑者の改善更生・社会復帰を図るため、必要な作業を行わせたり、必要な指導を行ったりできるという制度です。作業を課す点ではこれまでの懲役刑と似ていますが、課せられる作業は「懲らしめ」の罰ではなく、受刑者の改善更生・社会復帰のための措置ととらえられます。
 また、受刑者個々の特性に応じて処遇が区分され、例えば、高齢者や認知症を抱えた受刑者には作業よりもリハビリに注力させる、薬物依存の受刑者には回復プログラムに注力させる、知的・発達障害者の受刑者には福祉的支援を充実させる、若年受刑者あるいは長期受刑者には更生の意欲や再犯リスクに応じた処遇を受けさせるなどできるようになりました。
 詳しくは、法務省のウェブサイト掲載の資料をご覧ください。→こちら


 新たな制度が適切に運用され、受刑者の改善更生・社会復帰が円滑に進むよう、見守っていきましょう。(浜島将周)



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