名古屋市で個人情報保護や情報公開を担当する市政情報室長(当時)が、情報公開請求した男性の個人情報を、別部署の課長(当時)を通じて違法に集めていた、との報道がありました。(中日新聞WEB・4月17日、読売新聞ONLINE・4月17日、NHK 東海 NEWS WEB・4月17日)
市の説明によると、請求者は、複数回、市に対して情報公開を請求した。元室長は、インターネット検索で請求者と同姓同名者の職場情報を見つけた。元室長は、その職場とかかわりがある元課長に請求者の氏名を伝え、名古屋にいるかや人物像を探るように依頼した。元課長は、請求者と同じ職場と思われる人に接触し、請求者への講演依頼を装って人物像などを聞き出し、元室長に伝えた。とのことです。
個人情報保護法は、業務で知り得た個人情報を本人の同意を得ないで第三者に提供すること、また、不正の手段により個人情報を取得することを禁止しています。市(元室長・元課長)の行為は、明らかな個人情報保護法違反です。
市は同様の事案は他にないとしているようですが、市の個人情報保護や情報公開の担当者がこのようなことをしていたとなれば、本当にこの事案だけのことか?と疑いたくなります。
濵嶌もメンバーである名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は、中日新聞に、「請求者がどんな人物かを探る行為は、情報公開請求制度そのものを否定する行為だ。こうしたことが起きると市民は不安から情報公開請求に後ろ向きになる。今回、情報公開を担当する市職員が法令に違反したことは、名古屋市全体として情報公開制度に対する理解が不足していると言わざるを得ない。」とコメントしています。
また、NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、読売新聞に、「請求者の人物像は市には関心事だろうが、収集には法律上の根拠はなく、必要もない。仕事を依頼するよう偽り、請求者の個人情報を探ったのは適正取得義務違反で悪質度が高い。」とコメントしています。
いずれももっともで、市には再発防止に努めていただきたいです。(浜島将周)
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