11月1日に施行されたフリーランス新法についての説明の3回目です。
4.フリーランス新法の②就業環境整備に関する規定の概要
⑴ 募集情報の的確な表示(法12条)
特定業務委託事業者が新聞、雑誌、ウェブメディアなどに仕事の募集に関する情報を載せるときに、その情報について虚偽の表示や誤解させる表示をすることは禁止されています。また、募集情報を正確かつ最新の内容に保つ義務があります。
⑵ 妊娠、出産、育児・介護に対する配慮(法13条)
特定業務委託事業者が特定受託事業者に対して、6か月以上継続する業務委託をした場合、妊娠、出産、育児・介護と両立しながら業務ができるように、状況に応じた必要な配慮をしなければなりません。
また、一定期間以上継続していない業務委託に関しても、育児・介護等の状況に応じた必要な配慮をする努力義務があります。
⑶ ハラスメント対策(法14条)
特定業務委託事業者が特定受託事業者に対して業務委託をした場合、セクハラ、マタハラ(妊娠・出産に関する言動)、パワハラによって働く環境を害される問題が起きないように、相談対応のための体制整備などの措置を講じなければなりません。
特定受託事業者がセクハラ、マタハラ、パワハラについて相談したり、委託事業者によるハラスメント相談への対応に協力したりしたときに、事実を言ったことを理由に、契約を打ち切ったり、その他の不利益な取扱いをしたりしてはなりません。
⑷ 解除する場合の予告義務(法16条)
特定業務委託事業者が、6か月以上継続する業務委託契約を解除する場合や、期間満了後に更新しない場合には、少なくとも30日前までに解除や更新しない旨の予告しなければなりません。
特定業務委託事業者は、解除や不更新の予告をした日から契約満了の日までの間に、解除や不更新の理由の開示を請求された場合には、遅れることなくこれを開示しなければなりません。
5.フリーランス新法に違反していると思ったら…
基本的には、まず特定受託事業者が、法律違反があったと思った場合に、公的機関にまず申し出ることになります。
・①取引適正化のルールに違反していると思った場合には、公正取引委員会または中小企業庁の所管の申出先へ(法6条1項)
・②就業環境の整備のルールに違反していると思った場合には、厚生労働省の所管の申出先へ(法17条1項)
それぞれ申し出ることになります。
行政機関は、申出の内容に応じて、報告徴収・立入検査といった調査を行い、発注事業者に対して指導・助言のほか勧告を行い、勧告に従わない場合には命令・公表をすることができます。命令違反には50万円以下の罰金があります。
なお、公的機関への申出を理由に、取引数量の削減、取引停止、その他の不利益取扱いをするといったことは禁止されています(法6条3項、17条3項)。
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