経済安全保障上の機密情報を扱う民間事業者らを身辺調査するセキュリティー・クリアランス(適性評価)制度の導入などを盛り込んだ「重要経済安保情報保護法」案が、5月10日、与党のほか一部野党の賛成も得て、可決、成立しました。(NHK NEWS WEB・5月10日、東京新聞Web・5月10日)
同法案については、漏洩等が処罰の対象となる「重要経済安保情報」の範囲の不明確さ、秘密指定についてのチャック機能の脆弱さ、適正評価のための調査対象者・調査内容の広範さなど、多くの問題があり、秘密保護法体制の拡大・強化で、市民の知る権利やプライバシー等が不当に侵害されるおそれがあるとして、日弁連はじめ、弁護士団体からも多くの懸念が示されていました。(当ブログ3月12日「経済秘密保護法案と地方自治法改正案にご注目ください」)
国会審議においては、重要経済安保情報の指定・解除の適正の確保について定める附則が新設され、また、法の運用等について遺漏なきを期すべきとして22項目の附帯決議がなされましたが、それでもなお、上記のような懸念は残されたままです。
東京新聞の記事に、問題点が分かりやすくまとめられていますので、ご参考になさってください。→「政府は民間人にも「身辺調査」を行う…経済安保情報保護法が成立 「特定秘密」も拡大へ 懸念すべき点とは」(東京新聞Web・5月11日)
また、日本弁護士連合会が、5月10日付で会長声明を発出しています。→「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律の成立に対する会長声明」
日弁連としては、秘密保護法および本法について、今後も廃止または抜本的見直しを求め続けていきます。(浜島将周)
<5.17.追記>
愛知県弁護士会も、5月16日付で、経済秘密保護法成立を受けての会長声明を発出しました。
・重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律の成立に対する会長声明
<5.20.追記>
自由法曹団も、5月17日付で、経済秘密保護法成立に抗議する声明を発出しました。
・経済秘密保護法の成立に強く抗議し、運用の監視と廃止に向けた取り組みの継続を決意する声明
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