本年2月27日、政府は、「セキュリティ・クリアランス」制度を盛り込んだ「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」を閣議決定し、国会に上程しました。
これは、機密情報の流出や不正利用の防止、さらに、国際的な安全保障に関わる情報共有のための信頼構築に必要だとされ、経済界からの強い要請があるとされています。
また、3月1日、政府は、大規模な災害、感染症のまん延といった国民の安全に重大な影響を及ぼす事態等に、国が地方自治体の自治事務に関して必要な指示をすることができる仕組みを盛り込んだ地方自治法改正案を閣議決定し、国会に上程しました。
これは、新型コロナウィルス感染症対応での課題等を踏まえ、国民の安全に影響を及ぼす事態において、国と地方を通じた的確な対応を可能とするために必要だとされています。
いずれも、その立法的背景は理解できるものの、現法案が適切・妥当かについては、十分な検討が必要です。国民の知る権利やプライバシー権を大きく損なったり、地方自治の本旨に反し、緊急事態条項創設の憲法改正の先取りとなりかねなかったりして、違憲の疑いすらあるからです。
自由法曹団が、両法案に対し、反対する声明を発出しました。是非ご一読ください。(浜島将周)
・「経済安保版秘密保護法」の国会提出に抗議し、同法案の即時廃案を求める声明
・国の地方公共団体に対する指示権を拡大する地方自治法改正案に反対する声明
<3.15.追記>
日本弁護士連合会も、3月13日付で、両法案に反対する会長声明を発出しました。
・重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案についての会長声明
<4.20.追記>
愛知県弁護士会が、4月19日付で、経済秘密保護法についての会長声明を発出しました。
・「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律」案の抱える問題点の解消がなされないまま可決されることに反対する会長声明
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