緑オリーブ法律事務所ブログ

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 東日本震災時の東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故で福島県から愛知県等に避難した避難者のみなさんが、国と東電に対して損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高等裁判所は、11月22日、第一審に引き続き、東電にのみ賠償を命じ、国の賠償責任は認めない判断を下しました。(NHK NEWS WEB・11月22日中日新聞Web・11月22日福島民友Web・11月22日等。なお、中日新聞Web・11月20日もご覧ください。) 濵嶌は、控訴審から、避難者原告らの代理人に就きました。


 昨年6月17日、最高裁が国の責任を認めない判断をしましたが(当ブログ2022年6月19日「原発事故、最高裁は国の責任を認めず」)、以降は各地の下級審で同様の判断が続いており、残念ながら、今回の名古屋高裁もこの流れでした。


 とはいえ、今回の名古屋高裁判決は、政府機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」の信用性を認め、同年末時点で津波の到来は予見可能だったとして、「長期評価」の判断を避けた最高裁に比べれば一歩踏み出た判断を示しました。また、最高裁が完全に無視した「水密化」の議論についても、すでに有力に主張されていたことを認めました。
 しかし一方で、政府が規制権限を行使して、東電に適切な措置を義務付けても、十分な防潮堤の設置はなされず、事故は避けられなかった可能性が高いと判断して、国の責任を否定し、結論としては最高裁判断に追従する形となりました。


 また、今回の名古屋高裁判決は、第一審判決よりも、総額で東電の賠償額を減額しました。各原告でそれぞれ増減がありますが、総じて、区域外からの避難者に対して冷たく、慰謝料額が減額された原告が多数います。


 最高裁が国の責任を認める判断をするよう、全国の避難者訴訟原告団・弁護団は協力しながら、たたかいを続けていきます。(浜島将周)



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