緑オリーブ法律事務所ブログ

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 遺言書を作成したいとお考えになった場合、大きく分けて、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があることはご存じだろうと思います。
 この内「自筆証書遺言」については、原則としてすべて本人の手書きであることなど、細かなルールがあり、それらのすべてをクリアしないと無効になってしまうといった使いづらさがありました。(詳しくは、当ブログの2016年1月21日「自筆証書遺言と公正証書遺言」2016年1月22日「自筆証書遺言について補足」をご参照ください。)


 今回、法務省が、自筆証書遺言について、パソコン等のデジタル機器で作成できるよう民法改正を検討する方針を打ち出したそうです。(時事通信.COM・10月4日
 月内にも有識者会議が設置され、見直しの議論が始まるようです。


 上記ブログ記事と重複しますが、現在の民法は、自筆証書遺言は全文、日付、氏名を手書きし、押印しなければならないと規定するなどしています。そして、日付を忘れるなど不備があれば無効になってしまいます。手間がかかるので、自筆証書遺言が作成されることは少なく、遺言書の作成には公正証書遺言が利用されることが多いですし、弁護士も、公正証書遺言をお勧めすることが多いです。(上記報道によると、自筆証書遺言の正確な件数は不明ですが、自筆遺言を法務局で保管する制度の利用申請は2022年に約1万7000件、日本公証人連合会によると、公正証書遺言の作成は同年に約11万2000件だったとのことです。)
 ちなみに、公正証書遺言はすでに、デジタル機器で作成されています。


 自筆証書遺言のデジタル機器での作成を認めることの最大の問題点は、本当に本人の意思で作成されたか、作成後に他人による改竄などされていないかの担保でしょう。
 有識者会議での議論の中心もここになり、本人の署名などの手書き部分を残すかどうかや、家族による代理入力の可否などが議論されると思われます。


 制度改正には数年かかる可能性があるとのことです。進展がありましたら、またこのブログでご報告します。(浜島将周)




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