昨年2022年12月に成立した親子法の一部を改正する改正民法のご紹介、連載7回目(最終回)です。
1.認知無効の訴え
現行法の認知無効制度は、子その他の利害関係人から無効主張が可能で、期間制限はなく、子の身分関係が安定しない、嫡出否認との均衡を欠くなどの問題点が指摘されていました。
これらの問題点をふまえ、認知無効の訴えは、以下のとおり改正されました(改正民法786条)。
次に掲げる者は、それぞれ次に定める時(胎児認知の場合は子の出生時)から7年以内に限り、認知について反対事実があることを理由に認知無効の訴えを提起できる。
・ 子またはその法定代理人:子またはその法定代理人が認知を知った時
・ 認知した者:認知の時
・ 子の母:子が母の認知を知った時(ただし、認知無効の主張が子の利益を害することが明らかな場合は不可)
・ 子自身:認知した者と認知後に継続して同居した期間(当該期間が二以上あるときはそのうち最も長い期間)が3年を下回るときは、21歳に達するまで認知無効の訴えをすることができる(ただし、子の認知無効の主張が認知した者による養育状況に照らして認知した者の利益を著しく害するときは不可)
なお、認知無効の訴えの行使期間を制限すると、国籍取得を目的とした虚偽認知を否定できなくなるおそれがあるため、国籍法においては適用しないこととされています。
2.胎児認知の効力に関する規律の新設(改正民法783条2項)
胎児認知がなされ、その後に懐胎した女性が婚姻し、子が出生した場合、嫡出推定を優先し、胎児認知は効力を生じないこととされています。
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