所有者不明土地問題の解消のためのもうひとつの施策の柱、既に発生している所有者不明土地の利用の円滑化の方策として、③土地利用に関連する民法の規律の見直しがなされました。所有者不明土地問題の解消に向けた法改正についての連載最終回の今回は、民法のその他の改正のうち、相隣関係の見直しについてのご説明です。
※参照 『所有者不明土地ガイドブック~迷子の土地を出さないために!~』(令和4(2022)年3月 国土交通省)
【相隣関係の見直し】(令和5年4月1日施行)
―隣地を円滑・適正に使用できるようにするルールの整備
1. 隣地使用権のルールの見直し
境界調査や越境してきている竹木の枝の切取り等のために隣地を一時的に使用することができることが明らかにされるとともに、隣地の所有者やその所在を調査しても分からない場合にも隣地を使用することができる仕組みが設けられました。
2. ライフラインの設置・使用権のルールの整備
他の土地に設備を設置したり、他人が所有する設備を使用したりしなければライフラインを自己の土地に引き込むことができない土地の所有者は、必要な範囲内で、導管等の設備を他人の土地に設置し、他人の所有する設備を使用する権利を有することを明文化するとともに、そのような設置・使用のためのルール(事前の通知や費用負担などに関するルール)も整備されました。
3. 越境した竹木の枝の切取りのルールの見直し
催促しても越境した枝が切除されない場合や、竹木の所有者やその所在を調査しても分からない場合等には、越境された土地の所有者が自らその枝を切り取ることができる仕組みが整備されました。
道路を所有する国や地方公共団体も、隣接地の竹木が道路に越境してきたときは、新たな規律によって枝を切り取ることが可能になります。
なお、旧規定については、2014.11.12.「隣家の樹木の枝や根が伸びてきたら」をご参照ください。
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