刑罰の「懲役」刑と「禁錮」刑を廃止して「拘禁」刑に一本化する改正刑法等が13日、成立しました。(NHK NEWS WEB・6月13日、朝日新聞DIGITAL・6月14日)
刑罰の種類が変更されるのは、1907(明治40)年の刑法制定以降、初めてのことだそうです。施行は公布から3年以内とされています。
現行法の刑罰には、
<生命刑(生命を奪う刑)>
・死刑
<自由刑(自由を奪う刑)>
・懲役(木工、印刷、炊事等の刑務作業が義務づけられるもの)
・禁錮(刑務作業が義務づけられないもの)
・拘留(30日未満の収容で作業の強制もない、軽度なもの)
<財産刑(財産を奪う刑)>
・罰金(1万円以上)
・科料(1000円~1万円)
・没収(物の所有権を現所有者から剥奪するもので、主刑(懲役・禁錮)に付加してのみ科しうる付加刑)
があります。
今回、このうちの「懲役」刑と「禁錮」刑の区別をなくしました。懲役受刑者に科されていた刑務作業を義務とせず、改善更生に向けた指導や教育により多くの時間をかけることにしようというものです。
近年、刑法犯の人数自体は減る一方で、再犯者の占める割合は増加傾向です。犯罪白書によると、2020年には再犯率は5割弱にも達しました。今回の法改正は、再犯防止対策としての処遇改革の一環で、増加傾向にある高齢受刑者のリハビリや若年受刑者の学力向上の指導にも力を入れることができます。
日弁連も長年、再犯防止実現のための受刑者の処遇改善を提言していました。
今回の改正についても、「受刑者の円滑な社会復帰を図るため、その意向を尊重しつつ、住居、医療・療養、就業・就学など必要な援助を行う規定の新設も含まれている。受刑者の真の意味での改善更生と円滑な社会復帰が再犯防止実現の前提であり、法改正後もそのような目的に資するような運用や制度改革が実現されるべきである。」として、賛成していました。(2022年5月26日「拘禁刑等に関する刑法等改正案に対する会長声明」) (浜島将周)