緑オリーブ法律事務所ブログ

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 大きく報道された、北海道電力・泊原子力発電所の運転差し止めを認めた判決のご報告です。
 札幌地裁は5月31日、泊原発の1号機から3号機の運転差し止めを命じました。(NHK 政治マガジン・5月31日北海道新聞 電子版・6月1日朝日新聞DIGITAL・5月31日など)


 本件は、北海道電力泊原発(泊村、運転停止中)について、道内の住民らが、安全性に問題があるとして、運転差し止めと廃炉を求めた訴訟です。


 判決は、原発が原子力規制委員会の策定した安全性の基準を満たすかどうかは、知見や資料を持つ電力会社が立証する必要があるとし、電力会社が立証を尽くさない場合には、原発が安全性を欠き、周辺住民の人格権侵害の恐れがあると推認されるとしました。
 立証責任を実質的に転換したわけで、重要な判断です。


 その上で、泊原発の津波防護施設について、北電側は防潮堤が存在し、防潮堤の地盤に液状化などが生じる可能性は低いと主張するものの、地盤の液状化の恐れがないことについて、「相当な資料による裏付けをしていない」と指摘しました。また、建設予定の新たな防潮堤も構造が決まっておらず、「津波防護機能を保持することのできる津波防護施設は存在せず」と指摘しました。
 本件は、提訴からすでに10年を経過しており、それでもいまだなお、訴訟の場で北電が安全性を示してこなかったため、裁判所が審理継続が相当でないと判断し、判決に踏み切ったという経緯がありました。


 ただし、廃炉については、請求を棄却しています。


・判決文はこちら


・判決の骨子・要旨はこちら


・弁護団声明はこちら


 なお、北電側は、すでに控訴したようです。(浜島将周)



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