緑オリーブ法律事務所ブログ

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 所有者不明土地問題の解消のための施策の柱のひとつ、所有者不明土地の発生予防の方策として、①登記がされるようにするための不動産登記制度の見直しがなされました。今回はそのうちの、相続登記・住所変更登記の手続の簡素化・合理化についてのご説明です。


【相続登記・住所変更登記の手続の簡素化・合理化】


1. 「相続人申告登記」の新設
 改正法では、相続登記義務化とあわせて、相続人が登記名義人の法定相続人である旨を申し出ることで、相続登記の申請義務を果たしたことにする、という規定が設けられました。
 この相続人申告登記は、相続人各人が単独で申告することができ、添付書面も簡略化されているため、相続登記の申請義務を簡易に履行することができるようになります。


2. 遺贈の登記手続の簡略化
 改正法では、相続人に対する遺贈に限り、受遺者が単独で、遺贈による所有権移転登記を申請できるようになりました。
 従来の登記手続においては、相続人に対して相続財産の一部を遺贈する内容の遺言があった場合、不動産の遺贈を受けた受遺者が、遺言執行者(遺言執行者が選任されていない場合は法定相続人全員)から協力を得ないと、遺贈による所有権移転登記手続ができず、非協力的な相続人がいると手続が進まなかったのですが、この問題が解消されることになります。


 なお、相続人以外に対する遺贈は、従来どおり遺言執行者または法定相続人全員の協力が必要です。


3. 法定相続分での相続登記がされている場合の登記手続の簡略化
 改正法では、法定相続分での相続登記がされている場合に、遺産分割協議による登記をはじめとする下記の登記をするときは、「更正登記」により、持分を取得する相続人が単独で登記を申請できるようになりました。
 従来の登記手続においては、ひとまず法定相続分での相続登記がされた後に、遺産分割協議が整って法定相続分とは異なる内容で不動産を取得することとなった場合には、持分を取得する相続人と持分を失う相続人が共同で持分移転の登記を申請する必要があったのですが、これが簡略化されました。
・ 遺産の分割の協議または審判もしくは調停による所有権の取得に関する登記
・ 他の相続人の相続の放棄による所有権の取得に関する登記
・ 特定財産承継遺言(遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人または数人に承継させる旨の遺言)による所有権の取得に関する登記(浜島将周)



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