森友学園問題に関する財務省の決裁文書改竄を苦に自死した財務省近畿財務局元職員の遺族が、国と当時の同省理財局長に対して損害賠償を求めた訴訟において、国が請求を認諾し、約1億円の請求を受け入れたことが、大きく報道されました。(毎日新聞web・12月15日、時事.com・12月15日等)
これにより、訴訟は早期解決となりましたが、証人尋問等は行われず、裁判手続の中で真相究明をという遺族の思いは果たされなくなりました。
この事件で国が請求を認諾して訴訟を終了させたことについて、さまざまな意見・評価がありますが、ひとまずここではおいておきます。
本コラムのテーマは、<訴訟の終了事由>です。今回の請求の認諾を含め、主に以下のパターンがあります。
1.判決
おそらく、みなさんが一番思い描きやすいのは、判決でしょう。裁判所が、証人尋問等を行って、原告の請求が認められる、または認められないとの心証を得て、判断を下します(被告が原告の主張した事実を争わない場合など、実質的に争いがない事件については、証人尋問等が行われないこともあります。)。
2.訴えの取下げ
原告が提起した訴えの全部または一部を取り下げて、裁判所に対し裁判の要求を撤回することがあります(取下げは終局判決が確定し訴訟が終了するまで許されますが、本案につき弁論が開始された後に取り下げるには被告の同意が必要になります。)。
裁判外で被告と合意ができて解決するなど、裁判を続ける意味がなくなった場合にしばしば行われ、私自身もした/された経験があります。
3.請求の放棄・請求の認諾
請求の放棄は、原告が自らの請求に理由がないことを認めるものです。
請求の認諾は、被告が原告の請求に理由があることを認めるものです。
裁判所書記官が請求の放棄・認諾を調書に記載すると、その記載は確定判決と同一の効力を有します(給付判決における認諾調書は債務名義となります。)。
訴訟に至ったからには、原被告間に争いがあったわけですから、請求の放棄・認諾、つまり相手の言い分に対して全面降伏するというパターンが実際にされることは非常に珍しく、私自身はした/された経験はありません。
4.訴訟上の和解
両当事者が互いに譲り合い、紛争を解決する契約を和解といいますが、これが訴訟係属中、口頭弁論等の期日においてなされると、訴訟上の和解と呼ばれます。
裁判所書記官が和解内容を調書に記載すると、その記載は確定判決と同一の効力を有します(給付判決における和解調書は債務名義となります。)。
判決により勝敗をつけられるより、双方が少しずつ我慢して納得して終えられた方がよい場合もあるので、訴訟上の和解による終了のパターンは非常に多いです。(浜島将周)
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