先日、とある事件で久しぶり(たぶん10年以上ぶり)に「住居所調査」をしました。この「住居所調査」の意味も含め、「送達」について、ご説明します。
裁判所が、正式に裁判の関係者に対して、訴訟に関する書類を送付することを「送達」といいます。
原告(訴えた人)が提出した訴状(民事訴訟の申立書(の副本))を被告(訴えられた人)に対して送達する場面を想定すると、被告にちゃんと訴状が届けられたと確認できなければ、裁判を始めるわけにはいきません。訴訟係属は訴状の送達時とされています。このため、裁判所からの郵送物については、名宛人に交付され、名宛人が受領印を押して受け取らないと、送達されたことにならないのが原則です(民事訴訟法101条)。
逆にいえば、訴状が送達未了だと、裁判が始まりません。では、訴状を受け取ってもらえないと、裁判を始めてもらえず、訴訟解決をあきらめなければならないのか?が、このコラムのテーマです。
さて、送達にはいくつかの種類があります。以下、大まかに分類して、説明します。
Ⅰ-ⅰ 「通常送達」(民訴法103条1項):住所や居所への送達
名宛人の住所や居所(法人であれば営業所や事務所)に送達する、原則的な方法です。
大抵の人は裁判所からの郵送物は受け取ってくれるので、これで事足りるのですが、ときどき受け取ってくれないことがあるのです。
Ⅰ-ⅱ 「就業場所送達」(民訴法103条2項):通常送達では送達不能だが、勤務先等が分かる場合の勤務先等への送達
上記のとおり、送達場所は原則として住所や居所です。しかし、ここで受け取ってもらえなければ、勤務先等への送達が認められます。
勤務先等に裁判所からの郵送物があると、勤務先等に名宛人が裁判沙汰になっていることが知られてしまうので、プライバシーの観点からは好ましいものではありませんが、やむを得ないものとして認められています。
(さらに、補充的なものとして、出会送達(民訴法105条)、補充送達(民訴法106条1項、2項)、差置送達(民訴法107条)がありますが、説明は省略します。)
今回はここまで。次回は、「付郵便送達」および「公示送達」をご説明します。(浜島将周)
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